1月10日(水)に、ミュージカル『フランケンシュタイン』昼公演を観てきました。Wキャストの配役は、以下の通り(敬称略)。

ビクター・フランケンシュタイン/ジャック:中川晃教
アンリ・デュプレ/怪物:小西遼生

MusicalFrankenstein 1

http://www.tohostage.com/frankenstein/

韓国発のミュージカルで、韓国語表記は뮤지컬(ミュージカル)『프랑켄슈타인(フランケンシュタイン)』。これが分かっていると、YouTubeなどでの検索がはかどるので書いておきます。

この先、ネタバレを含みますので、未見の方はご注意ください

MusicalFrankenstein 2

今までにもたくさん観てきましたが、久しぶりに小西遼生さんの出演する舞台を観ました。これはもう、彼の魅力がすべて詰まったような作品だと言ってよいでしょう!二役やる、という時点で、役者のファンとしては、違った姿を一度の舞台で観られるという楽しさがありますが、軍服で正義感あふれる医師と、けもののように荒ぶる元アンリ・デュプレ=怪物と、身体は同じでもまったく異なる者を見事に演じ分けていて、圧巻でした。

そして、何より、二幕に多い殺陣!とくに、言葉も話せるようになり、ヒトとして動けるようになってから、長いマント(?)を翻してのアクションは、キレが良く相手の攻撃をかわす動きなども、『牙狼』での経験が大いに生かされていて、転がり方もやられ方も完璧です。アクションというか殺陣が大好物なもので、すぐアクションに目がいきます(笑)最も印象に残っているのが、最後の最後のシーン。アンリの記憶があることを匂わせながら、ビクターに殺されるために、アンリから仕掛けるシーン。なかなか引き金を引かないビクターに、わざと、ナイフを拾って襲いかかろうとする、そのナイフを拾おうとする瞬間の動き。一分の隙もない感じ。最高です!

歌も、こんな風に歌えたんだ…と、ちょっと失礼ながら思ってしまいました。なんとなく、これまでは「こういう歌い方ね」というのがあったのですが、とても感情が伝わってくる歌い方で、怪物の歌に、不覚にも涙があふれてきそうになりました。一幕の方でも、ビクターとの会話のような歌い方は好きでした。

全体的に、メロディーが難しくて、一緒に歌おうとしても無理な感じです(笑)歌の神様、中川晃教さんが歌っているのを聴いていてさえ、「む、むずかしい…」と思ってしまうほどでしたから。そんな中川晃教さんの歌は大好きなのですが、お芝居の部分で、声が高いからか、ときどき、ちょっと笑ってしまいそうになるのです。それは、昔からなのですが(汗)

さて、この『フランケンシュタイン』は、一幕と二幕で、別人を演じるという、一人二役が話題になってもいました。ただ、アンリと怪物の二役は、まったくの別人の二役ではなく、「アンリをベースとした怪物」であり、アンリ自身かもしれないという行動も起こしています。他の人たちの「二役」は、完全に別人の二役でした。

音月桂さんの舞台は、『ブラック・メリーポビンズ』『十二夜』に続いて、3作目です。彼女の二役は、個人的には完全に二幕の方がしっくりきました。一幕のお嬢様というかお姫様的な役は、美しいのですがしっくりこなくて(笑)だからこそ、二役の違いがはっきりしていて良かったのかもしれません。

濱田めぐみさんも、なんだか二幕の方が生き生きとしていたような(笑)さすがに素敵な歌声で、うっとりしてしまいます。小さい声でもはっきり聞こえる台詞の話し方は、やはり独特ですね。

全体的に、はげしく暗い話である分、鈴木壮麻さんが、ひとりでコメディ部分を担当していました。一服の清涼剤のようでした。

アンサンブルには、当銀大輔さんや遠山裕介さんなど、ほかの作品でもよく見ている人たちが出ていて、見応えがありました。全員、早替えが大変そうです。

原作を読んでいませんし、ミュージカル通でもありませんが、曲のなじみにくさはともかく、ゴシック調の舞台セットや、美しく切り替わる照明、好きな役者さんに似合う衣装とかっこいいビジュアルと、全体的に好みの舞台でした。一幕は、怪物が生まれるまでの話を詰め込みすぎた感はありましたが。余裕があればもう少し通いたいところです。