光州から一週空けて、大邱公演です。なにやってるんでしょうね、私(笑)光州旅行記を後回しにして、大邱公演のことを先に書きます。
大邱は成田から直行便が出てるので、光州より行くのが簡単です。ただ、空港から市内へは、地下鉄がつながっていませんので、バスかタクシーを使う必要があります。私は光州でバスに乗れた経験から、大邱でもいけると思い、バス+地下鉄で、泊まるアパートメントまで行くことにしました。
結果的に行けましたけど、光州よりバスに乗ることのハードルは高いことがわかりました。ハングルが分からないとわりと詰みます。それについては光州のことを書いてから、大邱の交通事情として書く予定です。また、今回はとても素敵なアパートメントに泊まったので、そのことについてもじっくり紹介したいです。
とりあえず、まずは『エリザベート』大邱公演について。
啓明アートセンター
啓明アートセンターは、地下鉄2号線の啓明大駅から徒歩2分ほどの啓明大学の中にある素敵な劇場です。
半月堂駅そばに泊まったので、地下鉄は乗り換えなしの1本です(劇場への行きやすさを考えて泊まる場所を決めました)。しかも、2号線は、同じホームの右と左で行き先が違うだけなので、間違えるという心配がありません。一方、半月堂駅から1号線に乗るときは、行き先によって、入る改札が異なるので要注意です。
啓明大駅7番出口を出ると、すぐに素晴らしいレンガ道が眼前に現れます。思わず「わあ!」と息をもらすほど素敵です。
啓明アートセンターへは、正面から階段を上ってもいいですし、駅からすぐのところにある、スロープ状の入り口から上っていっても、気分がアガリます。啓明アートセンターは、外観がギリシャの神殿のようです。快晴でミセモンジの心配もなかったこの日は、劇場が見えてきた時点でわくわくが止まらなくなりました。写真を見ると、夜の外観もライトアップされてとても美しいですが、今回は夜公演がなかったので見られずに残念でした。
ロビーに入ると正面には、お花が飾られていて中もきれいです。チケットは、1時間半前からの引き換えとなっていましたが、「外国人」という受付も作られていて親切でした。
「今日のキャスト」一覧はなく、ロビーの場合は、壁の上方にあるディスプレイに、ゆっくりとその日のキャストの写真とテキストの映像が流されていました。下に置いてあるディスプレイは、キャスト全員と舞台の場面写真を流していて、その回のキャストではありません。
また、オペラグラスの貸し出しも行なっていて、3000ウォンで借りられるようになっていました。とはいえ、それほど倍率の高くない、ハンドルのついたちょっとゴージャスなタイプのものです(オペラなグラスのやつです)。休憩時間中に借りてる人がたくさんいました。そうなのです。特にエリザベートは照明が暗いのでオペラグラス必須なのです。
プログラムは販売していましたが、スマホケースを売っていたかどうかは確認できませんでした。
お手洗いも広くて、きちんと手入れされていて、この点でも気分よく過ごせます。1階は、客席入り口に向かって左手に女性用トイレがあります。2階は、客席に向かって右手の階段を上った先に女性用トイレがあり、休憩時間は、席の位置によっては素早く2階に向かった方が早いかもしれません(私はそうしました)。
ロビーには、シアタークリエのキオスクのような感じで、飲み物と軽食が買えるスタンドが、1階と2階それぞれにあります。ロビーのソファの数は少ないので、お天気が良くてミセモンジの心配がない日なら、外の広場のベンチで待つのもいい感じです。
また、劇場の前の通りを渡った側には、カフェがいくつもあるので、早めに来ても、居場所に困ることはないでしょう。
キャスト
2019年3月17日 14:00開演
エリザベート:キム・ソヒョン
トート:パク・ヒョンシク
ルキーニ:パク・ガンヒョン
フランツ:ソン・ジュンホ
ルドルフ:ユン・ソホ
ゾフィー:イ・テウォン
(敬称略)
2018年12月2日マチネで、初めて韓国版『エリザベート』を観た時と全く同じキャストです。3か月半で、ずいぶん遠くまで来ましたね(私が物理的に(笑))。
開場から着席
韓国内は、どこでも同じ方式で、ロビーまでは誰でも入れて、客席扉でチケットを確認します。光州と同じく、客席の一番後ろの扉のみが開かれて、横の扉は締め切りでした。
今回は、上手ブロック5列目の上手寄り。もう一つ上手にブロックがありまして、そこはR席です。私の席から前方まっすぐが、エリザベートの舞台枠のギリギリ内側でした。
オーケストラピットというか、Oブロックというのが4列あるのですが、そこは光州と同じく完全につぶされていて、ルキーニだけが上を歩きます。Oブロックと1列目の間は通路になっていて、しかもOブロックとの境目には、木製の塀(背もたれよりちょっと高い)みたいなものがあります。この作りがよくわかりません(笑)韓国の方のチケット販売ページには、1列目から3列目ぐらいまでは、この壁のために見えにくいことがあります、と書いてありました。
そのようなわけで、5列目といっても10列目ぐらいの感じです。だいたいどこの劇場もそのような感じなので(ブルースクエアの場合は実際にオーケストラが入っていましたし)、自分の取った席の列+4列ぐらい後ろという感覚でいた方が、距離感的には今後もがっかりしなくて済むかなと思いました。
舞台の左右の壁上方には、大型ディスプレイがあり、ロビーでも流れていた「今回のキャスト」紹介映像と、注意事項、避難経路などが流れていました。
そして座席ですが、全然問題なく快適でした。段差は少なかったように思いますが、千鳥配置になっていたので、前の人が邪魔で見えないということもなく。
音楽は、地方公演は全て録音ですね。啓明アートセンターの音響は、ブルースクエアインターパークホールに近いかなと思いました。音が壁に吸収されがちという点で。
全体的な感想
シクトートも含めて、「真面目で基本に忠実な公演だったな」という印象です。シクトートを何度も観ている身としては、あれがなかったな〜、あれ観たかったな〜とか、そういうのはあるのですが。
そうは言っても、シクトートはまた、これまでともちょっとばかり違う雰囲気でして(笑)今回のシクトートは、一言で表すと「甘いお兄さん」。ヒョンとかオッパとか、そういうやつです。トートなので怖さはもちろん出してきてるのですが、なんというか、知らない間に家族(一族)の中に溶け込んできて、理解ある兄のように振る舞いながら、隙あらばエリザベートをさらっていこうと虎視眈々と狙っているし、隙を見ては一族から一人ずつ間引いていこうとしている、という。人間の中に溶け込んでる感がすごいです。それは、娼館での様子でも分かりました。
프롤로그(プロローグ)
お久しぶりのパク・ガンヒョンさん。イ・ジフンさんの次に好きなルキーニです。なんと言ってもかわいいですし。顔もかわいいですが、動きがなんとなくハムスターっぽいのです。それにしても、「엘리〜자벳〜!」(この後幕が開く)の言い方が、最初の頃とずいぶん変わりました。今回はとくに怪しさ満点で。
亡霊たちの歌とダンスがいったん落ち着いたところでトートの紹介「죽음!」
首を少し傾げるようにして、ゆったりと入ってきたシクトート。まったり気だるそうな雰囲気をまとって、まるで「せっかく気持ちよく休んでいたのに、無理矢理起こされて迷惑だ」とでも言いたげな。
「これはまた、色気で押さないトートだ…」
その気だるそうな感じのまま、歌い出します。
이 오래된 노래는 무엇일까
아직도 내 가슴을 뜨겁게 해
そして徐々に覚醒していき、エリザベートの肖像画を見て、その名を口にして、完全に覚醒。
엘리자벳!
バサァ!(羽根仕様のマントをひるがえして眼前を覆う音)
あ、あと、髪の毛カットしたばかりのようでして、後ろ頭が短く綺麗に刈り揃っていて可愛いのです。
愛と死の輪舞
席が上手だったというのもありますが、シシィが危なっかしく綱渡りをするシルエットがよく見えました。
光州ではシュイン!と高速で出てきた(ように見えた)シシィを抱いたトートですが、大邱ではゆっくり出てきました。(実はそんなには速度に差はないとは思うのですが(笑))
シシィを台座に寝かせて、自分も軽く腰掛けてから、右の太ももにシシィの頭をそっと乗せる・・・このしぐさが毎回どきどきします。この時点では何の感情もないわけですから、たんたんと無表情でやっているのがいいのです。
そして、シシィに死の接吻を与えようとした瞬間の衝撃。そのままいけばいいはずなのになぜいけない?と戸惑いつつ、ゆっくり立ち上がりシシィに背を向けて歌い始めます。なんというか、とても嬉しそうです。今まで、「愛と死の輪舞」でそこまで嬉しそうだったことはなかったような。少なくとも私が見た回では。
自分にこんな感情があったことに驚きつつも喜んでいて、エリザベートに愛されたいという強い感情がどんどん大きくなっていくのを抑えきれず、エリザベートを笑顔で見てしまう。エリザベートと声を合わせて歌う最後のフレーズも離れがたい恋人を見送るようです。
사랑과 죽음의 춤 안에~♡
신이시여 지키소서 우리 젊은 황제(皇帝の義務)
啓明アートセンターの暗転は、完全には暗くならなくて、うっすらシルエットが見えるくらいにぼんやり明るいのです。ソウルも光州も、前方席でも見えないほど、真っ暗な暗転だったので意外です。ですので、暗転→立ち去るシルエットがときどき見えてどきどきでした。スポットが当たってない時の居かたを見るのが大好物なので(笑)
最近は、アンサンブルやトートダンサーの顔も覚えてきました。エリザベートの姉役の方が可愛くて好きです。アンサンブルなので、あちこちに出てきます。
母親の懇願にもかかわらず、その息子にゾフィー(に言われたフランツ)が処刑を申し渡すシーン。いつもより照明が若干明るいようです。わずかにですが。
死の接吻直後に羽根仕様マントで覆う動きが、いつもより少し遅かったので、ちょっと心配しました。その前の歌の時に、ちょっとブレがあったので、もしや体調が?と思ったのですが、この後は心配するようなことはなく、杞憂に終わりました。
結婚式
大邱でも、ロープでトートが登場するシーンはありませんでした。地方公演では全部ないのかもしれませんね。安全性の確保とかもあるでしょうし。
エリザベートに一目ぼれして、あんなに嬉しそうだったのに、他の男の元に行ってしまって、自分ができなかったキスまでされて、そりゃあもう「嫉妬の化身」になりますね。トートが自身の滑稽さに対して笑っているようにも思えました。
全くの余談ですが、この高笑いのシーンで、いつも怪盗キッドを思い浮かべてしまうんですよ(笑)キッド様、好きなんです。ヒョンシクさんの声って山口勝平さん系だと思うのです。本当に良い声!
마지막 춤(最後のダンス)
紳士のふりして人の結婚披露宴に押しかける男、トート閣下。ブリッジの上から、恭しく左手を差し出すも、やっぱりキム・ソヒョンさんのエリザベートは、あまりトートに近づきません。
残された左手を軽く握るシクトート。これまでの公演の「悔しそう」というよりは、「わかってないな」という感じ。そして、エリザベートを諭すように歌いかけていきます。歌ってるうちについムキになってしまうシクトート。倒れこんだエリザベートに迫るのも荒々しくなり、勢いあまってキスしそうです。最後まで、エリザベートに一所懸命言いふくめているよう。
それにしても、「最後のダンス」のダンスはカッコいいの極みです。トートダンサーたちがまた、いい仕事してるんですよ。トートとの一体感が素晴らしい。トートから本当に羽根が生えているかのように動きます。あの羽根、けっこう重たいのではないかと。
그림자는 길어지고(闇が広がる)
エリザベートの娘の死。ここはやはりトートは様子を見に来ただけなのではないかと思いました。トートが直接関与していない死も当然あるわけで、それなのにエリザベートに責められるという。
フィリピンのBENCHのイベントで、短くアレンジしたとは言え、これを歌ってくれたのは本当に嬉しかったです(FacebookでBENCHを検索して公式ページに飛べばイベントの様子が全て動画で見られます)。
엘리자벳, 문을 열어주오(エリザベート、扉を開けておくれ)
苦悩して苦悩して、ようやくフランツを追い返したエリザベートのところへ、間髪入れずに表れるトート。いつからベッドにいたんだ、とかは考えてはいけません。
包み込むような優しい声でエリザベートの名を呼ぶシクトート。包容力のあるところを見せて、その腕の中で眠れば、本当に気持ちよく眠れて、この苦悩とはさよならできると思わせます。ほんとに、ものすごーく優しーくエリザベートを包み込もうとするんですよ!!むしろ恐い!
が、死の接吻の寸前、エリザベートはトートの腕を大きく振り払い、トートから走って離れます。(普通はこんな感じになりますよね。オク・ジュヒョンさんが毎回破天荒なだけで(笑))
「まだ分からないのか、おまえは」といった風に首を横に振りながらベッドをゆっくり降りるシクトート。そして、エリザベートに自分の存在を完全に跳ね除けられたことを知って、鬼の形相のまま退散することになります。
優しく包み込む男作戦失敗。
나는 나만의 것(Reprise)(私だけに)
完全に自立して、凛とした輝きを放ち、四方を眩しく照らすエリザベート。その光に追いやられて、鏡の中の暗闇から出てこられないトート。
手を伸ばすも、今はエリザベートに届かないが、絶対に自分の元に来させてみせるという激しい感情が指先に表れているかのようでした。
キム・ソヒョンさんがエリザベートのときは、ソン・ジュンホさんがフランツだと、シクトートとの3人のハーモニーがとても気持ちいいです。
키치(キッチュ)
パク・ガンヒョンさんのキッチュ!は、やはり「若いな〜」という感じ。私は好きですが、客席の巻き込み力みたいなものは、まだちょっと弱い感じ。実際、そんなに巻き込まなくてもいいんですけど(笑)ガン・ホンソクさん、イ・ジフンさんと続けて見ると、大人しく見えてしまうだけとも言えます。
내가 춤추고 싶을 때(私が踊る時)
「エリーザベッ!エリーザベッ!」と、ハンガリーで盛り上がっているところから転調して、不穏な音楽が流れ始め、鷲の銅像が回転して、トートが表れるという、音楽の流れがとても好きです。
そのシクトートですが、鷲の銅像の足先に沿って左肘から指先までを置き(鷲の爪を手で覆う感じ)、少し銅像に寄りかかり気味で登場。
この公開稽古の冒頭がその登場シーンなのですが、この回ってるのが実際は羽根を広げた鷲の銅像なのですが、光州のマチネまではこのように、手を下ろしていたのです。
キム・ソヒョンさんのエリザベートの場合は、ここは完全に死を拒否していて、完全にバリヤーを張ってます。
이제부터 난 맘대로 춤을 출거야.
시간 장소 음악까지 모두 내가 결정해.
トートダンサーがトートから生えてる羽根のように広がりながら、エリザベートを追い込んでいくところで、カッコいいので大好きな振り付けですが、この時も、エリザベートはとても強い意志を示してトートを見据えていて、取り付く島もない感じです。
내가 춤출 땐 누구와 춤출지도 내가 정해! 내가!
なので、ここがほんとにトートの独りよがりもいいところ。オク・ジュヒョンさんのエリザベートの場合は、トートが表れると心が揺れるような迷いが生じるので、エリザベート頑張って!となるのですが、キム・ソヒョンさんの場合は、応援なくても大丈夫そうです。
엄마 어디 있어요(ママ、どこにいるの)
キャスト表がないのでわかりませんが、おそらく一番小さいルドルフだったと思います。小さいので、ひとりぼっちで可哀想な感じが増します。
子ルドルフにも色気全開の時もありますが、今回のシクトートは、優しく理解ある兄のようにルドルフに近づきます。トモダチというより兄。おそらくルドルフが欲しいもの(人)。一番会いたいのは母親だけれども。
笑い方も、ニヒル系ではなく、兄系。弟の言うことを笑って聞いてくれて、頭をなでてくれるような(なでませんが)。
내숭 따윈 집어치워요(マダム・ヴォルフのコレクション)
ほかのトートを見ていないので分かりませんが、こんなに毎回ここでの居かたが変わるものなのでしょうか。
娼婦が全員、メリーゴーランドのような台から下りて、重臣やその他の男たちの周りで絡み出したころ、トートダンサーたちに紛れてシクトートが表れ、台のひとつにスッと上ります。
そして・・・何気ない佇まいのまま、右手の親指と中指を合わせるようにして手のひらを軽く丸め、中指の爪あたりを見ながら、「あーあ、これはまた」といった風に首を2、3度振っているではありませんか。重臣の方は見ずに、耳で聞いているだけで様子は全部分かるようです。
まるで、退屈で、暇をもて余した人がやるようなしぐさです!「えーーー!」と内心かなりびっくりしました。またしても、今までと違うのですか。いくつ引き出しがあるんですか。ありすぎませんか。
そのまま、中幕は閉じていきました。
전염병(伝染病、最後のチャンス)
今回、シクトートはここが一番色っぽかったかも、というお医者さんごっこのシーン。
医者(トートですが)に、性病だと言われて激しく否定するエリザベートが「死にたい」と言った瞬間、エリザベートに背を向けていたシクトートが(ハットはもう取ってた)、
그래~ 그렇게 해~~
と言いながら、背中を軽く反らせて、黒のコートを足元に滑り落とすように脱いだのですが、この言い方と脱ぎ方がヤバかった!(唐突に語彙力消失)というか、透けてる背中が(衣装)がいつも以上にヤバかったです。
そして、ばっと振り向いて、
엘리자벳!
기쁘게 기다리마!
と言いながら、ソファに駆け上り、エリザベートに迫るも、またも激しく拒絶され、ネックレスまで投げつけられて、退散となります。エリザベートがついてきてくれない悔しさよりも、激しく八つ当たりされてちょっと面食らったような顔をしていたシクトートでした。
그림자는 길어지고(Reprise)(闇が広がる)
フランツと喧嘩して街に飛び出してきたルドルフが息を整えていると、双頭の鷲の紋章がゆっくり上がっていきます。
シクトートは、後ろを向いて、上手側にかろうじて顔が見える程度に斜めに陸橋の手すりに寄りかかり、待ちくたびれたといった風に登場。
ゆっくり立ち上がって振り向きルドルフを見つめながら歌い出し、、
니가 어릴때 우리 다시 만날거란 그 약속.
で、階段の方に歩き出します。
階段を降りたときの、右手の指を小指から閉じていく動作、久しぶりに見ました。公開稽古動画にはありましたが、舞台ではやってなかったのです。
ルドルフが、今までと少し違っていて、シクトートとかなり近づくまで、腕を出してませんでした。
내 친구 암흑속에서 나는 너를 찾곤했지.
の最後のところで、ひしとシクトートの胸に飛び込みますが、シクトートはすぐには抱きしめず、「しょうがないやつだ」とでも言いたげに首を傾げてから、ゆっくり背中に腕を回します。
このペアの関係性も、3か月半でだいぶ変わりました!初めて見たときは、同年代の友達感がありましたが、今や、シクトートがすごーく上から目線。ルドルフを軽くいなしてます。シクトートに貫禄が出てきた証拠です。
そして、友人としてというより、近しい兄として、親しげに、優しそうな、それでいてルドルフを未来の皇帝と敬っている(ような)態度で、ルドルフを破滅の道に向かわせます。ルドルフが自分で考えてそうしたのではなく、明らかにトートの手のひらの上で踊らされています。
陸橋の上で、下で、様子をうかがっているシクトートは、クスリともせず、終始表情が読めません。ただ、ただ、ルドルフの前に、黄泉の国に向かう道を作っていきます。
とうとう、ルドルフが父フランツに見つかり捕まった瞬間、腹の底から笑い出し、もう本当に笑いをこらえるのが大変だったよとでも言うように、笑いすぎなぐらい大笑いして、去っていくのです。
죽음의 춤(マイヤーリンク 死の舞踏)
ルドルフが母に助けを求めてやってきて、ひとしきり歌った後、母の声を聞いて発する一言。
엄마 들려요?
子ルドルフとリンクして、本当に可愛いらしい表情なのです。そして、突き放された絶望。
결국..어머니 당신마저 날 져버리겠다는 거군요.
エリザベートのシルエットをシンメトリーに型どった中幕のような役割を持つ巨大な壁があるのですが、それが一気にせり上がり、その奥に、トートと黒の天使たちが表れます。
この表れ方が超絶カッコいい。
銃を構えているシルエットがまた絵になるのですよ。センターから下手寄りにいることが比較的多いトートですが、この登場は上手奥からですし、ルドルフが死んだ後も上手側からの方が表情やしぐさがよく見えます。
銃を欲しがるルドルフをひとしきり弄んでから、おもむろに銃を構えて、左手で、ひざまづいているルドルフをつかみ、右手で、銃を空中で軽く一回転させてから持ち直し、ルドルフに渡し・・・死の接吻。
この日は、唇をぬぐったりはしませんでした。
色気押しでないトートだと冒頭で分かった時点で、「あ、今日はあれがないトートだ」と思ったのですが、その想像通りとは。何度も見ていて、どういうことをやったりやらなかったりするかをある程度知っているとはいえ、それが冒頭で伝わるってすごい。つまり、私の体調とかで見え方が左右されてるわけではなくて、やはり、シクトートのその日の演技プランがちゃんとあるということに他ならないわけです。
そして、「ショーは以上です」という風に客席に向かってお辞儀をして、悠々と去っていくのでした。
추도곡(死の嘆き)
また、もらい泣き寸前のキム・ソヒョンさんのエリザベートの嘆き。胸が痛くなります。
それを、眉間にしわを寄せて、厳しい表情で聴いているシクトート。そこまで嘆き悲しむとは思っていなかった、ような。さらに、自分のところに逃げてきたいと言われるとも思っていなかった様子。
それを聴いたとたん、さらに険しい表情になって、エリザベートを一喝して追い返すシクトート。いや〜、ひどい仕打ちだわ(笑)
질문들은 던져졌다(Reprise)(悪夢、暗殺)
フランツに対して嫉妬に狂った怒りではなく、「お前ではだめだ!」と正面から真っ直ぐな怒りをぶつけていくシクトート(立ち位置的には後ろからですが)。だから、なんというか、恋人というより兄なわけです(今回は父でもなく)。
ルキーニ に対してもそうで、「あなたの脳に語りかけています」的な囁きではなく、「今だ!」と直球で指示を出したような。まさに、12月2日に初めて韓国版「エリザベート」を見た時と同じです。その時も、相手はパク・ガンヒョンさんでした。
베일은 떨어지고(愛のテーマ)
やはり、長年共にしてきた愛しい者を見る目です。恋人を見る目とは少し違う感じの。
「ようやく、自分の懐に帰って来てくれた」
かのような感慨深さを醸し出した抱擁で、腕の中で命を失ったエリザベートを左手でも支えようとしつつ、触れられず(光州ソワレの時のような小刻みな震えはほとんどなく)、ただ、その身体の重みを感じ取っているかのようでした。
最後に、遠くを見るように顔をあげましたが、何かぎ来たというより、エリザベートが腕の中にいて、去っていったことを実感しているといった様子でした。
カーテンコール
毎度思いますけれども、ほんのついさっきまで죽음だった人が、どうしてこんなに急に素に戻れるのでしょう(笑)他の人たちもそうなんですけど、役者さんってすごい!テレビドラマをやってる人は、特に変わり身の速さがすごいと思います。
カテコで踊る마지막 춤は、アイドルの「トート閣下」ですから。劇中は、エリザベートに向かって踊りますが、カテコでは客席に向かって踊るので、魅了されっぱなしです。幕が閉まる寸前まで、両手でバイバイしてるのも可愛すぎます。この日は最後に投げキッス♡まで!黄泉の国に連れてく気か・・・。