マチネが終わり、ソワレまで少し時間がありましたので、一休みするために、12月から気になっていた美味しそうなカフェに行ってみました。
Coco Bruni(カフェ)
ブルースクエアの1階から出て、そのまま梨泰院方面に3分ほど歩いていくと、左手にあります。
周りも似たような考えでやってきた日本人グループばかりでしたが、お友達と予定を合わせて来られるのをちょっとだけうらやましく思ったり。こちらは常にひとりぼっちなので(笑)
かわいくておいしそうなケーキがたくさんショーケースに並んでいます。前に並んでいた団体さんは、いちご系のケーキばかり頼んでいたので、私が食べたかったニューヨークチーズケーキ(最後の1個)は無事でした(笑)
ケーキもコーヒーもおいしくて、一人でも気がねなく入れるカジュアルなお店でした。かなり広いので、満席で入れないということはなさそうです。店の中央には大テーブルもあり、そこに座って一人でMacBookで作業している女性などもいました。
甘いものを食べてまったりできたので劇場に房ります。
キャスト
2019年1月27日 19:00開演
エリザベート:キム・ソヒョン
トート:パク・ヒョンシク
ルキーニ:イ・ジフン
フランツ:ソン・ジュンホ
ルドルフ:ユン・ソホ
ゾフィー:イ・テウォン
(敬称略)
https://www.instagram.com/p/BtskTrPgkfo/?utm_source=ig_web_copy_link
開場から着席
シクトートのソウル公演千秋楽です。
最後は、12列目のどセンターでした。いつもサイドブロックでしたので、どセンからの眺めをとても楽しみにしていました。今まで見えなかった景色が見えるはず。今まで聴こえなかった音も聴こえるはず。
ただ問題は、出入りしにくいことです。真ん中の真ん中みたいな感じなので、通路に出るのも通路から客席外に出るのも一番最後になってしまいます。そのためお見送りには完全に出遅れました。でも、一番の目的は舞台を存分に満喫することです。
全体的な感想
やはり舞台は、センターから見て、聴くことを前提にして作られているんだなあということをしみじみと実感しました。自分の目が、基本となる映像を撮影しているカメラになったみたいでした。自分の耳が、最高の音を録音するために配置されたマイクになったみたいでした。
群舞のフォーメーションが、ビシッときれいに揃っているのを正面から観るのは圧巻!の一言。たとえば「最後のダンス」。たとえば「ミルク」。そして、「闇が広がる」。どれもこれも「ふおぉぉぉぉ!!」と惚けてしまうほど素晴らしくて美しく、思わず拳を握りしめてしまうほど感動に打ち震えていました。
肉眼で表情を見るには、若干遠かったのですが、二度と見られない景色だと思い、なるべくオペラグラスを使わずに、全体の構図、全体の中でのシクトートの立ち位置を記憶しようと努めました。
프롤로그(プロローグ)
このオーケストラの生演奏で聴けるのもほぼ最後。演奏も毎回素晴らしかったので、地方公演では録音上演なのが残念です(大邱には注意書きはなかったようですが生演奏なのかしら)。
イ・ジフンさんのルキーニ !なんかもう、イ・ジフンさんを見るとホッとするほどに(笑)
亡霊たちの群舞も「あ〜本来こういう形だったのね〜」としみじみ。そしてシクトートの登場。
「あれ?こんなにこんなだった?(←なんのこっちゃ)」と思うほど、優美で麗しく、優艶だったのに加えて、威風堂々とした歩き方(!)えっと、これまでが、黄泉の貴公子なら、まさしく今回は「黄泉の帝王」!
これは後でも感じますが、最後にそうきたか!という。(まだまだ地方公演がありますが)
あと、トートの目の横のブルースパンコールの輝きに、何度となく「おお!」となりました。これまでこのスパンコールのことを書いていなかったことでわかるように、今までほとんどスパンコールには目がいかなかったのです。それが今回、何度も目がいくということは、正面からだと、照明がまっすぐに当たっていて、反射が見えやすいからではないかと。
自分で撮った動画でも、よく見ると輝いてるのがわかるのですが、拡大してスローにしてみました。
https://www.instagram.com/p/BtjtbgPgUAi/?utm_source=ig_share_sheet&igshid=eqgxv68a9lxd
愛と死の輪舞
キム・ソヒョンさんの子供時代のシシィは、無邪気さが全身にあふれていて本当に可愛らしいです。そのシシィをお姫様抱っこしてシクトートが現れる時も、もうまんま、小さな女の子を抱っこしてる感じ。
そして、死の接吻をしようとシシィに近づいた瞬間、無邪気にあてられたという風。ここはやはり一目惚れ感はちょっと薄いです。
そして、「俺としたことが何ということだ」という戸惑いやちょっとした恐れを含んで情感たっぷりに歌いますが、本当にこの2か月間の成長ぶりが凄まじい…。それを表現するための語彙が尽きてきました。
シン・ヨンスクさんの「私だけに」PVに一瞬でてきますが、シクトートのシシィへの命の返し方が大好きです。手指の長くて美しいのを存分に活用した所作で、その手を掴んで一緒に黄泉の国へ連れて行って欲しくなる感じ。
皇帝の義務
ここのトートは何も話しませんし歌いませんが、処刑者の後ろに立っていて、黒い翼をじわじわと広げていき、ガッ!と死の接吻をするという、それが、ただただ恐ろしく美しくて、瞬きできないほど凝視してしまいます。
마지막 춤(最後のダンス)
何もかもが最高の形で目と耳に飛び込んできて、自分で本当に実際に見てるのか、自分の存在自体が疑わしく思われるほどでした。
これは振付家さんのInstagramですが、トートが鉄橋から降りてきて、このフォーメーションになるのですが、죽음의 천사(死の天使。トートダンサー)とまさに一体となっていて、本当に心臓が止まるカッコよさ。
https://www.instagram.com/p/BqO55DjgEkb/?utm_source=ig_share_sheet&igshid=1d8hikot8y25b
깊은 어둠속으로 빠져들거야.
조용히 은밀하게 서서히 내게로!
ぎゃー!ここのオレ様感たるや!
私の所にも最後のダンスを踊りにきてください!(錯乱)
그림자는 길어지고(闇が広がる)
エリザベートが娘を失って悲しみに打ちひしがれている所に現れるトート。舞台全体が一枚の絵として目に入ってくると、本当に高い所に現れるんだなということが分かります。公開稽古で着ていたような衣装はこのシーンで着ています(もちろん完全に同じではないですが。)
エリザベートの世界を支配するかのように歌いますが、やはりこれまでの王子様的な佇まいから、より帝王のごとく、威圧感が増しています。
넌 내가 필요해.
とここでは超上から目線でエリザベートを連れて行こうとするのに、ルドルフが死んだ時には、本当には必要とされてないからと拒むトートは、ちょっとかわいい。
엘리자벳, 문을 열어주오(エリザベート、扉を開けておくれ)
鼻血注意報発令中。
苦しい思いを手紙に綴ってフランツに投げつけ追い返したエリザベートを、トートがベッドに片膝立てて座ったまま全力で誘惑しにきますが、帝王感増したシクトートとか、見てる方は貧血になります。
エリザベートを背後から操りながら、包み込むように優しくキスをしようとしますが(この時の首筋が美しい)、速攻で逃げられます。オク・ジュヒョンさんが、トートを突き飛ばす感じなら、キム・ソヒョンさんはトートの腕から逃げる感じです。これだけでも、ずいぶんと違いが分かるかと思います(笑)
ここは、シンプルな格好で動き回るからか、シクトートの腕の長さとか足の長さとか、二次元みたいなスタイルの良さを堪能できます。そのスタイルとその顔で、エリザベートに拒まれて、悔しそうな顔をしてからの「やれやれ」みたいな顔は、反則すぎです。
나는 나만의 것(Reprise)(私だけに)
この回は、一幕が終わっちゃう〜という思いが強くてですね(笑)そして、キム・ソヒョンさんのエリザベートは、回を追うごとに輝きを増していたように思います。
トートは鏡の裏にいるので、サイド席からだと見にくいのですが、やはり正面からだと、エリザベートを中心に、フランツとトートの対比がはっきり目でわかります。この時点では、エリザベートの中にはトートが入る余地は全くなく。
내가 춤추고 싶을 때(私が踊る時)
二幕です。
どセンだと、トートがいろんなものの後ろでスタンバイしてるのは、当然ながら見えません。ちょっと残念(笑)これまであまりリンクを貼ってきませんでしたが、この動画の冒頭が、このシーンのトートの登場シーンです。実際には、この台の上に銅像があります。
今見ると、このお稽古の頃はまだまだ模索中な感じが現れてます。
この銅像から降りて歩いてくるときは余裕たっぷりなのに、エリザベートとやり合ってる間にだんだん興奮してくるというか、ムキになってくるのが大人気なくてラブリーなシクトートです(トートは大人なのかなんなのかよく分かりませんが)。
上手側で、トートダンサーを翼の一部のように動かしてエリザベートを追い詰める振り付けも、上手端からだとトートがエリザベートと被ってしまって見えなかったりしましたが、センターではそういうこともなく、一挙手一投足が見えます。(ブルースクエアインターパークホールのセンターブロックは、座席が千鳥になっています。)
엄마 어디 있어요(ママ、どこにいるの)
窓の外に黒い羽根が舞い降りてきて、ベッドの後ろにトートが現れる一連の流れが本当にスムーズで、台を降りてくるときも体重を感じさせない軽さ。本当に羽根が生えてるんじゃなかろうか。適度に舞台から離れてると、床の音などもしませんから余計にそう感じます。
내숭 따윈 집어치워요(マダム・ヴォルフのコレクション)
ここがまた、マチネと違ったところです。マチネよりはほんの少し長くいて、フランツの行状を見てから、少し呆れたような顔になり、「さあ、見よ。この体たらくを」といった風に大きく両手を広げてみせるのです。
ここで中幕が閉まりますが、このシーンでトートの存在感を堂々と出してくるあたり、やはりマチネとは違います。己の存在を臆せず示してくる黄泉の帝王。
전염병(伝染病、最後のチャンス)
医者ぶるトートが毎度ちょっと可愛いこのシーン。マチネでは、客席に背を向けてハットを取るときに、取ると同時に、左手でさっと髪を整えていましたが、ソワレでは、ハットを取ってから、振り向きざまに両手で髪をバッとなでつけるようにして、大げさに整えていました!(リーゼントの人がやるみたいな感じと言えば近いかもしれません)
トートの歌の後半、中空から鉄橋が降りてきて、トートが去っていこうとするのですが、ここで、毎回、エリザベートは、裏切ったフランツからもらったネックレスをはずして、鉄橋の中程にいるトートの方に投げつけます。その時のトートの表情がなんとも言えなくて、かわいいのです(笑)
그림자는 길어지고(Reprise)(闇が広がる)
さあ、やってきました「闇が広がる(リプライズ)」。
フランツとルドルフが口論ののち別れて、一人街に飛び出してきたルドルフ。紋章がゆっくりと昇ってゆき、陸橋とその上にいたトートが姿を現します。今まで、いろんな佇まいを見せていたシクトートですが、なんと千穐楽では、昇っていく紋章の下から、客席側を向いている足先が見え始め・・・
バーン!!!と正面を向いて仁王立ちしていました(驚)
「ひえ~~~!出た~~~!!!最後はそうきたか~」という気持ち(笑)トート閣下!しかも正面から見てるものですから、もう圧がすごい。客席全部、トートにさらわれるんじゃないかという勢い。過呼吸注意報。息を吐くのを忘れずに、自分。
ルドルフが完全に子犬。トート閣下に手玉に取られる幼子。シクトートが2ヶ月の間に身に着けた威厳の凄さよ。「恐ろしい子!!」(by ガラスの仮面)
興奮しすぎました。とにかく、この2ヶ月半の公演の集大成といった、見る者に畏怖の念を抱かせるトートとなっていました。ルドルフが無謀な行動に出てしまう間も、悪魔のような笑みを浮かべていて、「その時」を待っている感じ。そして、ルドルフが捕まり、破滅が決定的となった瞬間の哄笑!
죽음의 춤(マイヤーリンク 死の舞踏)
正面から見る「死の舞踏」。トートを高く掲げるトートダンサーたち。その形の美しいこと。
冷然とルドルフに銃を渡すトート。死の接吻。訪れる静寂。
モノとなったルドルフの肉体を手にしたまま、ゆっくりと息を吐き出し、ルドルフをそのへんに転がすトートは、ただただ「死」のみしか感じさせない、暗黒の帝王です。いっさいの装飾を排除した、ただの「死」。
추도곡(死の嘆き)
キム・ソヒョンさんのエリザベートの、息子を失った悲しみの表現がいつも素晴らしいです。ただ、派手に悲しむのではなく、心がえぐられるような悲しみが伝わってくるのです。
そんなエリザベートが死を懇願しても、忌々しそうにその願いを一蹴するシクトート。「エリザベートが可愛そう」と思わず共感してしまうほどです。
질문들은 던져졌다(Reprise)(悪夢、暗殺)
そんなトートですから、これまで以上に、過去最高に、フランツを攻め立てて威圧する超オレ様トート様です。
ルキーニにナイフを投げるのも、「あなたの脳に語りかけています」的な感じだったのが、超命令口調です。怒りMAXのトートが腕を振り上げると、轟音とともに稲妻が走るのですが、正面から見ると、稲妻と手の先が重なって、本当にトートの指先から稲妻が出たのではないかと錯覚するほど。何もかもがぴったりハマっています。
베일은 떨어지고(愛のテーマ)
そして、エリザベートの死。純白の衣装に身を包み(わりと衣装持ちなトート)、静かに迎えにくるシクトート。
愛おしそうにエリザベートを迎え、熱いキスを交わすも、最後の瞬間、悲しそうなのは変わらず。なんという複雑な感情表現をするトートなのでしょうか。
カーテンコール
スタンディングオベーションのために立ち上がると、舞台上の人たちと同じ目線の高さになるという、素晴らしい席でした。
トートがカテコで歌い踊る「最後のダンス」が、本当にかっこいいのです。ここはもうアイドルの本領発揮で。最後のワンフレーズまでかっこよくキメて、エリザベートのカテコから、全員での「エリザベート!」の節まで、とうとう終わってしまった寂しさがこみ上げてきます。
いったん曲が終わった後、全員が見守る中、ソン・ジュンホさんが、「今日、ソウル公演最後の日を迎えた人がいます。トートです。パク・ヒョンシクさんから一言」みたいな感じで紹介がありました。
挨拶を促されたヒョンシクさんは、話し出そうとするも「エグッ(;O;)」ってなってしまって声が出ません。それを温かい目で見守るイ・ジフンさんとソン・ジュンホさん。つられて涙ぐんだり泣いたりしてしまうキム・ソヒョンさんやアンサンブルの方たち、トートダンサー。
「ち、ちゅぐむ(죽음 死 トート)なのにっ! (えぐっ(>_<))」
的なことを言って一所懸命話そうとしてるのを見て、もうこちらも号泣です(泣)
や、さっきまでの帝王感はいったいどこに?????(笑)
一気に年下っ子になってるではないですか(笑)
本当に苦労して努力したのでしょう。
それが十分に伝わってくる公演でしたし、ご挨拶でした。
突如、韓国に「エリザベート」を見に行くと決めたのが2018年9月の終わり。そこからこれまでの数ヶ月の間、エリザベートのために仕事をがんばり、毎日を生きていたと言っても過言ではありません。本当に素晴らしい体験をさせてくれて、感謝しかありません。