話が前後しますが、2020年2月9日(日)に、「スリル・ミー」三昧してきました。そのマチネのお話です。過去の記事はこちら。
韓国版ミュージカル『スリル・ミー(쓰릴 미)』20200124 マチネ
韓国版ミュージカル『スリル・ミー(쓰릴 미)』20200208 マチネ
韓国版ミュージカル『スリル・ミー(쓰릴 미)』20200209 ソワレ
HONEYBUTTER ALMOND & FRIENDS SHOP
マチネの前に、お土産を買いに。忠武路駅から徒歩で明洞駅に向かいます。前日の真夜中に、ゲストハウスの火災警報が誤作動か何かで30分近く鳴り止まず、あまりよく眠れなかったので、ちょっとぼーっとしています。
お目当ては、明洞にある「HONEYBUTTER ALMOND & FRIENDS SHOP」。一時的なブームかなとは思いますが、前回たまたま買って美味しかった、ローストコーン入りアーモンドと、個包装タイプのアーモンドが欲しくて。明洞に来たのは2回目という、旅行者にあるまじき少なさ(笑)前回は、このロケ地巡りのとき。
全体的におもちゃ屋さんのような雰囲気で、中にも、マスコットグッズの棚や、マスコットと一緒に写真を撮れるスポットなどがありますが、広さの割にアーモンドと関連グッズしか売ってるものがないので、サクッと買い物して終わり。帰ってきてから食べてみたら、辛いアーモンドとワサビアーモンドが美味しかったですが、苺ミルクはあんまり…。ただ、あまりにアーモンドを食べ過ぎてしまったので、現在自重中。しょっぱい系は、ついつい食べて過ぎてしまうので要注意です!
YES24ステージ 2館(예스24스테이지 2관)
3回目なので、30%オフチケットをゲット。使うときがありませんでしたが(汗)しかも、使える公演の条件が厳しい。それでも、スタンプを貯めて何かをもらったのが初めてなので記念です!
韓国のミュージカルチケットは、チケットもピクチャーチケットですし、チケットケースも公演仕様になっていて、セットで記念になります。日本では、最近は公演チケットは、終わったらすぐ捨ててしまうのですが、コンビニ発券の味気ないチケットだから「眺める楽しみがない」というのが大きいです。
座席
一度はセンターブロックというか、ど真ん中から見たい!ということで、後方ではありましたが、N列のどセンを取りました。小さい劇場なので、N列でも肉眼で見えるのですが、照明が暗いことがほとんどなので、オペラグラスを使いたかった!でも、周りを見渡しても、1階席でオペラ使っている人などいないので諦めて、目を凝らして見ました(笑)
しかし、やはりどセンでないと見えなかったことも見えたので、1回はここにして良かったです。
座席の背もたれが、高い椅子と低い椅子があり、基本的には背もたれが低いが、ところどころ高いという感じ。私の座った椅子も、背もたれが高かったので気づきました。おそらく、壊れて取り替えたのが、背もたれの高い椅子なのではなかと思いました。座り心地としては、やはり背もたれが高い方が楽でした。
キャスト
2020年2月9日 15:00開演
나(私、ネイサン):김우석(キム・ウソク)
그(彼、リチャード):노윤(ノ・ユン)
ピアニスト:이동연(イ・ドンヨン)
(敬称略)
3回目のノユン彼とウソク私です。ピアニストは、前日とは異なり、初見時の方です。同じペアばかりになってますが、毎回違うことが起きるので。しかも、この日のソワレは、あんなことになってしまったものですから、「ちゃんとした」ネイサンを観たのはこれが最後でした(笑)
感想
どセンから見ると、また全然違った景色が見えました。右も左も正面も上も下も、一度に見えるので、首が痛くならないのは結構大きい。
虚無の表情で、審議官の質問に答える「私」が真正面に見えた瞬間、なんだか不思議な感じがしました。自分が、審議官のいる席に座っているような錯覚。舞台を見ているというより、舞台の一部になった感覚。誰も身動き一つできないような張り詰めた空気。”그를 뒤따른 것 뿐”が終わり、バードウォッチングのシーンになり、照明が明るくなって、少しほっとしたほどです。
改めて書きますが、「彼」が帰っちゃいそうになって、通せんぼしに行く時のウソク私の手が好きすぎまして。現実世界で両手開いて「通せんぼ」なんてすること、ほぼないと思うのですが(人が通らないようにする仕事でもない限り)、顔はうつむき気味で、行動と手だけバッと主張している感じが、三歳児みたいで愛おしいわけです。「彼」に「どけ」と言われた後のしょんぼり感も。
台詞の言い回しというか、話し方というか発音もツボるところがいろいろありまして。「ハーバードのロースクールに一緒に行けると思ってた」あたりのやりとりで、「誰に聞いた?」と「彼」に聞かれて「네 동생…(きみの弟)」という時の「동생」の「ㅇ」の発音とか。(細かすぎ!)歌っている時も、子音の発音がはっきりしているというか、聞き取りやすい気がするのです。「ちょっと今の台詞もう一回」と言いたくなるので、今後、OSTが出る作品にたくさん出演してほしい。
そして、正面から見る、ノユン彼のキスシーン。ドラマなんかで見る、憧れのキスシーンの一つかのような、突然降ってくるキス。そして、それに驚いて首をすくめるウソク私。シルエット的に満点で、「おおー」と拍手したくなります(もちろん、しませんが(笑))。このシーンを正面から見られただけで、もう目的は果たした気持ち(早すぎ)。それにしてもやはり、「木」はいらないのではないですかね。すごくじゃまです。木が必要なのは、最初のバードウォッチングのシーンだけですから。
倉庫への放火も、二人で、ほぼセンターでやりとりするので、ノユン彼に跪かされて「야~~」というウソク私の様子を正面から、こそばゆくなりながら見られて満足です。燃える倉庫を正面に眺めながら歌うわけですから、客席側は、燃え盛る倉庫の中に取り残されてる人のような気分です。
というか、演出家は正面からしか見てないのではないかと、正面に座って思いました。左右、上下、手前と奥、同時に目に入らないと二人の関係性が分かりにくい配置が多用されているからです。しかも、手前と奥の場合、窓の向こうに「私」がいて、手前に「彼」がいることは、席によっては、ピアノや木や階段に遮られて見えない。また、例えば、最前列あたりの席だと、「私」が2階で電話しながら歌ってることは見えても、新聞を床に置いてることは見えないと思われます。
それはともかく、契約書をタイプしながら、「契約法の勉強になるね」と無邪気な笑顔でノユン彼に言うウソク私ですが、その時のノユン彼の表情が印象的でした。ほぼ自分の世界に陶酔していて、「私」のことは見ていない。
ここで眼鏡をかけないといけない「私」はどういう目の悪さなのか、とても気になります。タイピングが終わった後、「彼」と一緒に契約書を見るときは眼鏡を外します。「彼」と森で再会した時は、眼鏡をかけないとちゃんと見えない距離だった。遠視ではないことは確かで、軽度の近視に軽度の乱視が入ってるのではないかと思いました。眼鏡を落とした後からは、眼鏡をかけずにいて、それが不便そうでもないですが(それより大きな問題があるから)。そんなよく見えない世界は、余計に不安だと思うのです。
契約書を交わした後も、「彼」の犯罪に付き合わされるだけの「私」が、Thrill meなシーン(ざっくりすぎ)。ウソク私の様子がだいぶ危うい(良い意味で)。我慢も限界、鞄を奥まで投げ飛ばし壁を壊しそうだし、服もボタンを引きちぎる勢い。欲求不満全開さが回を追うごとに増してる気がするのは気のせいでしょうか。「私」って、神経質にイライラして、癇癪起こしたりするタイプの人間だという認識だったのですが、ウソク私は、そういう「私」のイメージとは異なる、「普通の男の子」っぽいので、よけいに、この「スリル・ミー」の中で新鮮に映るのかもしれません。
そのトーンのまま、逮捕されて、取調べを受け、「彼」に本当のことを告白するに至るので、そこがまた「違和感」として残って、寒気がするところでもあります。「私」の話をちゃんとは聞いていなかった「彼」も彼ですが、「彼」のことをちゃんとは見ていなかった「私」もそこにはいて、どちらも自分のことしか考えていなかった。「彼」が「ああいう弁護士」になりたがっていたことさえ、「私」は
「知らなかった」。
唐突に「自由」を与えられ、虚無しか見えないその先に放り出された「私」。そこに登場するのは、思い出の中の「彼」なので、現在の「私」とは目が合わない。「私」が思わず「彼」に駆け寄るも、決して交わらない、そのすれ違いの瞬間で終わる。その意味が、正面で見た時にはっきりと分かり、ゾクっとしました。再会してからこっち、二人の気持ちが重なり合って、同じ方向を向いたことは一度もなく、「彼」と「私」のそれぞれのエゴの果てにこうなっただけであること。求め続けた「彼」を結局は失い、自分だけは現実を生きていかなければならない「私」。
ノユン彼とウソク私の演技も、ここに来てまた研ぎ澄まされたような気がしました。素晴らしい回でした。
カーテンコール
スタンディングオベーションの中、挨拶を終えてから、「私」と「彼」の二人は、青い照明にてらされた、部屋の壁の奥まで行き、ピアノの伴奏に合わせて、バシッと暗転するのですが、その瞬間、ウソク私が正面を向いたまま、ノユン彼の肩の方に首を傾げ、足をクロスさせたのです!
うおーーーー!かっこいい!!!
この瞬間のシルエットが脳裏に焼き付いてはなれません。完全に魂を持っていかれました。
チラシ
後日、チラシを手に入れました。
YouTube
このペアの「スリルミーTV」がめちゃめちゃ可愛いのでリンクを載せておきます。
キム・ウソクさんの方が年上と言ってるのがいろいろヤバいです(何が)。