当初、ここまで通うつもりはなかったのに、良席求めて彷徨ってる内に回数が増えてしまいました。この2日間は3階席。それぞれセンターとボックス席。1階では見えなかった世界が、そこにはありました。

以下、ネタばれ注意です。

前日の開演前に飲んだ「ヴァッツァ1919 ノンアルコール版」さっぱりしてて美味しかったので、ゴクゴク飲んでしまいました^^;

上の階からの楽しみといえば、照明です。下から見てると、なんだか綺麗だけどよく分かりませんが、上から見ると、劇場全体を彩るように設計されたライトの描き出す色や模様、記号、背景をはっきり確認できます。これを知ってから、とくに銀河劇場のときは、1回は上から見るようにしています。3階のボックス席は、A席扱いですが、列でいうとJ列付近ですから、わりと舞台からは近く感じます。また、今回のニジンスキーのように、セットの上部も使った演出だと、楽しみも増えます。

さらに、今回は、ニジンスキーが寝転んでる振り付けが多かったので、それも上からなら、全身がよく見えます。まあ、3階席は手摺がじゃまですが…。

1幕の、ニジンスキーがよろめいてソファに座り込み、ひざを抱えて座り込むまでの一連の流れが大好きで、オペラグラスで食い入るように見入ってました。このポーズを見ると、ものすごく古いですが「エイリアンストリート」という漫画のシャールくんを思い出すのは私だけですかね。シャールくん並のいい男ですし(笑)戯伝写楽で、このひざを抱えるポーズにやられたので、このポーズを美しくキメる様子に弱いだけかもしれません。

そこから、ディアギレフとの耽美な絵画のような妖しく艶かしいシーンも目が離せません。上からだと、のけぞってるニジンスキーの首すじの美しいこと。よく、のけぞるポーズがありますが、あれをゆっくりゆっくり倒れていくの、すごいですよね。あそこまでゆっくりしたままポーズを崩さない筋肉に惚れ惚れしますね。オレンジをかかえたまま、牧神でヴェールをつかんだまま、とか。

細かいことですが、好きなシーン。牧神の午後の振り付けについて語るニジンスキーが、壺の話をして「あれを踊りたい」という、その言い方。興奮して、ちょっと笑いを含んだ言い方をしますが、4/5に見たときの言い方が一番好きでした。わくわくしちゃって仕方ない、みたいな気持ちがにじみ出ていて。これだから、何度も見に行っちゃうんですよね。

そして、薔薇の精。可憐にピアノで踊るのも好きですが、舞城さんダンサーと2人きりになってから、ガラッと表情を変えて踊り出す、その瞬間、鳥肌が立ちます。このときの舞城さんの踊り出しも、指の動きとか妖しくて怖いです。セルロイドの人形が動き出すみたいな。「人形の館」(だったかな、昔流行った戯曲で、最後、人間が人形になってしまう)を思い出します。

風海くんもよく見えました。とくに、下手側の箱の上で踊るシーン。あの狭くて高い空間で、かなり激しく踊っていて、本当にすごいです。私は高所恐怖症気味なので、それを見ていてめまいがしました(笑)

神との結婚と、死後の会話後のダンスシーンでは、ライトが上を向いてるため、まぶしくてオペラグラスを見ていられないこともありました。頑張って見ていましたが(笑)ディアギレフの「美しき迷宮に~♪」のシーン。怖すぎる悪魔のような笑みを浮かべてのけぞっているニジンスキー、まさに「狂わされ」ます。最後の額縁に入った絵のように昇っていくシーンでは、本当に後光がさしているように見えました。思わず、口あんぐり。

こんな感じで、見る方もだいぶヨレヨレしてしてきましたが(笑)いよいよ、千穐楽を残すのみとなりました。集中して見てきます。