エンタメ

城南公演:韓国『エリザベート』20190412

とうとう、『エリザベート』地方公演最終地、城南です。

今までの地方公演では、最終日の1回公演だけとか、1日の中でのマチソワ公演というスケジュールでしたが、城南は、なぜか金土公演とかに分散しそうな気がすごくしていて(トートが2人だけになりますし)、キャスケが出るまで何も予約せず待機していました(仕事か!)そうしてキャスケが発表された瞬間休みを取り、4月12日(金)〜14日(日)というスケジュールでエアとホテルを手配し、行ってきました。

オサレ地区江南にほど近い場所にホテルを取りましたが、その話もまた後回しにしまして、私の脳の短期記憶容量がいっぱいになって次の記憶で上書きされないうちに城南公演の感想です。

城南アートセンター オペラハウス(성남아트센터)

城南アートセンターは、水原公演の劇場がある水原市庁駅と同じ路線、盆唐線の二梅(이매)駅にあります。

水原市庁駅とは異なり、駅前にお洒落なカフェなども全くなく、カフェに行くとすれば、劇場の1階にあるカフェかロビー内のワゴン店(マフィンやチュロスなど案外充実している)、天気が良くてミセモンジがなければ外のテーブルと椅子などで過ごす感じです。隣駅まで歩きましたが、一人で気軽に入れそうなのは小さなパリバケットとテイクアウトのお店ぐらいしかありませんでしたし、パリバケットは満席でした(泣)

二梅駅1番出口を出て、まっすぐ道路沿いに歩いて行くと、城南アートセンターが右手に見えてきます。他には大きな施設が何もないので間違いようもありません。駅から城南アートセンターまでは平地なので楽々ですが、劇場敷地内に入ってからが大変です。

とにかく広い!そして、オペラハウスは丘の頂上にある!正面から行くと、光州の劇場並みに延々と階段を上っていくことになりますが、駐車場側からいくと、若干緩めの坂を徐々に上っていく感じになります。結局最後は階段なことには変わりありませんが。(車椅子の人用のスロープやエレベーターは充実しています。)

オペラハウスというだけあって、広くて大きい!!そして、今までの劇場の中で最も座席数が多いです。エリザベートを観るにはちょっと広すぎです。

お手洗いは比較的広くて個室もたくさんあり、手入れもきちんとされていたので、快適でした。城南公演では、幕間の混み具合がどうだったかあまり覚えていないのですが、幕間は客席横の扉から出られたので、それほど列の後ろにならなくて済みました。

ロビーにはソファがたくさんある他、ロビーの外にもテーブルや椅子がおかれていたので、待つ場所には困らないと思います(お天気にもよりますが)。

キャスト

2019年4月12日 20:00開演

エリザベート:オク・ジュヒョン
トート:パク・ヒョンシク
ルキーニ:パク・カンヒョン
フランツ:ソン・ジュンホ
ルドルフ:ユン・ソホ
ゾフィー:イ・ソユ
(敬称略)

考えてみると、平日20時開始の公演を観るのは初めてです。終わるのは23時です。家ならもう寝てます(笑)

オク・ジュヒョンさんのエリザベートを観られるのも最後。ユンルドとシクトートの美麗ペアが観られるのも最後(ちがう、そこがペアじゃないというツッコミはなしで!!)。

開場から着席まで

1階4列下手ブロックという、水原に続いてかなりの前方席が取れました。(エリザベートに関しては、代行などに一度も頼らず全て自力でチケットを取り続けました。そして、チケ取らなくてよくなってからもついインターパークとYES24をのぞいてしまうチケ廃人となりました。)

例のごとく、舞台と客席の間には閉じられたオーケストラピットがありますので、この距離でもオペラグラスは必須です。会場ではオペラグラスとごつい双眼鏡のレンタルもありました。私が行った地方公演で、オペラグラスのレンタルがなかったのは光州だけです。(隣の人に「貸して」と言われたあれです。)

水原で書き忘れましたが、水原の劇場の椅子は、座面が重くどっしりとしていて、背もたれと座面の間には隙間があるタイプでしたが、ここ城南アートセンターオペラハウスの椅子はとてもオーソドックスな感じです。綺麗でクッションもしっかりしており、長時間座っていてもお尻が痛くなることはありませんでした。特に最終日には幕間にトイレに行かなかったので、たしかです(笑)

全体的な感想

オク・ジュヒョンさんが、水原よりも若干喉の調子が優れなかったようで、声量が一定していないところが散見されました。急に地声のようになったり。それでも全体として素晴らしかったことには変わりありませんが。

シクトートは声量が爆発していて、これは、スピーカーがものすごく近かったことと、音楽と役者マイクとの音響バランスが若干良くなかったことも関係あるかもしれません。翌日、シン・ヨンスクさんとテクトートの昼公演をほぼ同じような位置の席で見ましたが、役者マイクと音楽のバランスが良くなっていたので、調整されたのだと思います。

それはともかく、色気で押すシクトートを見た最後でした(泣)オク・ジュヒョンさんとの回は、エリザベートとトートで、美しさと色気の頂上決戦みたいになるので、毎回鼻血出そうになりますし、実際ソウルで初めてこのペアをソワレで見た日には、徒歩でホテルに戻った途端鼻血出ましたからね…。(そしてあの頃は「お見送りなんて到底むりっ!」だったので終わってすぐホテルに帰ったのですよ。帰って良かったですわ。鼻血出してる人がそこにいたらあまりにも怖い。)

프롤로그(プロローグ)

ルキーニは大邱以来おひさしぶりのパク・カンヒョンさん。城南公演では、シクトートと組むのは2回ともパク・カンヒョンさんです。城南でイ・ジフンさんのルキーニを見ないで終わるのは寂しくて、イ・ジフンさんの出演するテクトートの回を増やしたのです。

そのパク・カンヒョンさんのルキーニが、尋問してくる煉獄の誰かに向かって言う 개소리 그만하고 꺼져! は、顔の周りを飛び回る蝿を追い払うような感じで手のひらをひらひらさせながら、隣にいる人に向かって言うような声の大きさで言います。そのあたり、エセ哲学者のような雰囲気を感じさせます。

亡霊たちが起き出してくると、ワクワクしたような顔つきに変わるパク・カンヒョンさんのルキーニは、終始、その状況を面白がって楽しそうに見えます。

そこからの죽음!

ですが。
どんな風に歌っていたのか、あまり詳細を思い出せないのですよ。この回。それより前に見た水原の方は覚えているのにどうしてだろうと必死で考えたところ・・・

シクトートの新ビジュアルに見惚れていたから!

でした!!
ここにきて、さらにビジュアルを変えてくるとは!ぐぬぬ。

ソウルの大半はオールバック、終わり頃に七三分けぐらいで右側の前髪を軽く下ろしていたり、地方公演でも少しずつ変わってはいましたが、前髪を下ろしているのはいつも右側でした。それが、城南公演では、髪を分けてはいますが、前髪を下ろしているのが左側になっていたのです。つまり、プロローグでブリッジから登場する時には、上手から下手に向かっていきますから、客席には前髪が降りている側のシクトートの顔が見えるわけです。

あ!と思った瞬間から、その美しい・・・というか可愛いビジュアルに意識が集中しすぎて、気づいたら冒頭歌い終わってエリザベートの肖像画を見つめ、客席に背中を向けているトートになっているではありませんか。

ルキーニに죽음と呼ばれて、左に顔を向けるシクトートの横顔も、前髪があるために怖いというより可愛い。髪型で全然イメージが変わるものなんですねぇ。しかも、メイクもちょっと薄いようです。トート的ナチュラルメイクとでも言いましょうか。

そんな風にビジュアルに見惚れているうちに、プロローグが終わっちゃったじゃないですか…。

愛と死の輪舞

この髪型に薄メイクですから、シシィをお姫様抱っこしてきたシクトートが、台にシシィを横たえ、自分も軽く座り、右の太ももにシシィの頭をそっと乗せるという一連の流れの間も、初めて見た時のように、美しさに呆気にとられていました。前髪の威力大きすぎ。ただ、前髪で隠れ気味なので、目の表情が見えにくいというのはありました。悩ましい。

死の接吻をしようとトートの顔が近づいてきた時のオクシシィの、瞳をまん丸にしてキョトンとした顔がとても愛らしくて好きです。

これこそ「恋に落ちた」という感じのシクトート。ここまで舞台に近い位置でこの二人を見たのは初めてですが、なんとなく、先輩に恋しちゃった後輩感がなきにしもあらずです(笑)

生まれて初めての(トートがいつどこから生まれたのか知りませんが)自分の感情を持て余し気味になりながらも、すでに完全にエリザベートの虜になった様子で嬉しそうに歌うシクトート。エリザベートにかけた魔法を解くと、再び動けるようになった彼女の瞳に、声に、姿にうっとりしながらドキドキが止まらない感じです。

最後のデュエットも息ぴったりで、まるで「ロミオとジュリエット」のロミオみたいな初々しさで、顔には切なそうな表情を浮かべ、伸ばした手を胸の前で軽く握ったまま、闇へと消えていきます。

신이시여 지키소서 우리 젊은 황제(皇帝の義務)

前髪多めトート的ナチュラルメイクのシクトート様なので、群青色の闇夜のような照明の下に立っているだけで美しく、ぼーっと見惚れてるうちに処刑された男に死の接吻してました。

これを映像で残さないとか七代先まで祟られますよ?!私に絵心があれば、この光景もちゃちゃっと絵に描いてお見せすれば一目瞭然なのですが、へのへのもへじかコックさんしか書けないので、こうやってくどくどと文章にしているわけです。

結婚式

「死が二人を分かつまで」という司祭様の言葉にエリザベートが 네 と答えると、不気味に歪んだその声が教会中にこだまし、鐘の音とともに、トートの笑い声が響き渡ります。(聞こえているのはエリザベートだけ。)

含み笑いから始まり、アーハッハッハ!アーーハッハッハ!アーハッハッハ!と、美しくも激しい笑い声が綺麗に炸裂です。まるで笑い方のお手本のようです。

今となっては、教会の天井にロープに捕まって登場するトートが懐かしい…。

마지막 춤(最後のダンス)

フランツとキャッキャとダンスを楽しんでいたエリザベートの周りには、いつのまにか死の天使たちがいて、自分たちの主人のために、エリザベートが逃げないように舞台の両サイドを塞ぐように立っています。

そこへ、異国(黄泉の国)から来た皇子が、新しい皇后にご挨拶に参りましたとでもいうような余裕を見せて、ブリッジから優雅に降りてくるシクトート。恭しく礼をしてから、ブリッジの手すりのワイヤー越しにそっと手を差し出します。

「だあれ?」と訝しく思いながらも手を取る寸前まで近づくオクエリザ。エリザベートの手を握ろうとしてかわされたシクトートは、苛立ちを徐々に露わにし、トートダンサーを従えて、エリザベートにそれをぶつけます。

너의 결혼식에 난 손님일 뿐
날 버리고 미소 짓는 너

覚えていてと言ったのにすっかり忘れて他の男と結婚したことを恨みがましく思い、

너의 선택이 과연 진실일까?
그를 향한 환상은 착각일 뿐

で、エリザベートと舞台上手に停止しているソン・ジュンホさんのフランツの間あたりまで進み、フランツを左手で指し示します。本当に、自分の気持ちに気付かず結婚してしまった先輩に今さら気持ちを告げる後輩か。少女漫画か。

わがままにエリザベートを翻弄しながらも、妖艶で魅惑的な踊りでエリザベートを魅了し、自分がいることをもう絶対に忘れないでもらおうとするような激しいダンスと歌で迫り、最後はブリッジの高見で思いのたけを稲妻のような勢いで歌い上げます。

思わずここでスタンディングオベーションしたくなるほどでした。いや、しませんけど、ものすごい拍手と歓声でした。ご本人は謙遜しますがこの日は本当に素晴らしかったのですよ。エリザベートの存在が霞むほどでした。

トートダンサー

何度でも書きますが、トートダンサーの踊りが本当に凄いですし素晴らしいのです。トートダンサーだけの舞台も観たいほどなのです。中のお一人は『アンナカレーニナ』にも出演されるので楽しみです。

エリザベートとゾフィー

これも、水原公演の感想に書き忘れましたが、結婚初夜から一夜明けた明け方の寝室に、義母ゾフィーが入ってきて起こされたことに、オクエリザもキムエリザもとても慌てて起き上がり、お付きの人にショールを肩にかけてもらいますが、シンエリザだけは半分寝たまま「なんですか〜?」と、慌てるでもなく聞くという、エリザベートの完全に子どもっぽい一面を見せていて感動しました。

그림자는 길어지고(闇が広がる)

オクエリザとの対比で見ても、ずいぶんシクトートの存在感が大きくなったなと感じました。シクトートを観に行っているとは言え、オク・ジュヒョンさんのエリザベートの方に圧倒されることは多く、やはり「エリザベート」なのだなと感じていたのですが、4か月前に比べ、今や全く対等かそれ以上に力を示しています。

娘を失って悲嘆に暮れているエリザベートに向かって、上からもの凄い威圧感を醸し出し「自分を求めているはずだから認めろ」とか後輩っぽさどこ行った(笑)

넌 황제를 어둠속에 빠뜨리고 있어~~~

サビに入る直前のこの最後の 어~ の丁寧な歌い方がとても好きです。シクトートがアカペラで歌っているかのように聴こえるほどでした。

続きはウェブで!(笑)

2019年4月24日に放送されたSBSラジオの番組「カルトショー」に、映画『陪審員たち』のプロモーションで登場した際、この最後のところを歌ってくれました(歓喜!)(フィリピンでも歌ってくれてましたがラジオの方は雑音がないのでとくにうれしい。)

두시탈출 컬투쇼 http://wizard2.sbs.co.kr/w3/template/tp1_radio_netv.jsp?vVodId=V0000328482&vProgId=1000216&vMenuId=1014529&vOrder=&uccid=22000331547&cpage=1
(リンク先の表示は変わるかもしれないので日付を参考にしてください。)

행복한 종말(退屈しのぎ カフェプレイオフ)

曲が終わり、シクトートが新聞をテーブルに叩きつけて立ち上がった後、いつもより少しばかり盆が回り始めて暗転になるのが遅かったので、シクトートがルキーニをにらみつけたままの状態で、絵のように時が止まっていました。

水原の時のように顔の向きを変えるということもなかったので、いつもより長く、このシーンの怖くて不気味な雰囲気のシクトートを堪能できました(と言っても5、6秒のことですが)。

엘리자벳, 문을 열어주오(エリザベート、扉を開けておくれ)

机に向かって悩みながら手紙を書いているも、フランツが扉を叩くと、パッと嬉しそうな表情になり、一瞬扉に駆け寄ろうとするオクエリザ。しかし思い留まり、フランツの声が聞こえないふりをして、一心不乱に手紙を書き進めます。

やはりソン・ジュンホさんのフランツが、まんまフランツという感じで好きです。張りのある素敵な歌声も。「エリザベート」という発音も!また日本に来てください!

そんなフランツを泣きながら追い返したエリザベートの前に、ベッドに足を伸ばし片膝立てた座りかたで、くつろぎ気味に枕に寄りかかった姿勢で表れるシクトート。顔にはちょっと勝ち誇ったような笑みまで浮かべています。

엘리자벳 내 품에 안겨 편안히 눈을 감아
위로해 줄게~

これほど、豪華なベッドが似合う王子様はいません。高貴な輝きを放ちながら、要するに「一緒に死にましょう」的なこの歌で誘い、腕を一振りするとエリザベートが吸い寄せられてくるわけです。私の魂も一緒に吸い寄せられて幽体離脱。この腕の振り方が優雅で美しくて、文化遺産登録をお願いしたい。エリザベートの気持ちが弱っていたり、心に隙ができたりすると、すぐにこのトートの手の一振りで吸い寄せられてしまうのですね。

でも、次に膝をついて起き上がるシクトートの膝からはポキと(笑)久しぶりに聴こえました(笑)

そして、シクトートの唇がかなり間近に近づいてきたところで叫びながら、トートの腕から離れるエリザベート。ここの叫びが薄かったので、のどの調子が悪いのかな?と思いました。

シクトートは、口の端を歪め軽く笑う余裕を見せるも、エリザベートに完全に跳ねのけられると(ここのシーンは本当に「バリヤー!」という感じに跳ねのけられる)、鬼の形相で激しくエリザベートに掴みかかろうとしますが、ポーズだけで動くことはできずに暗闇に消え去ります。(実際には盆が回りながらの暗転。)

나는 나만의 것(Reprise)(私だけに)

のどの調子がいまいちそうでも、水晶を思わせる透明な美しさは変わらず。そして、重要な歌の時は外さないオクエリザです。浴室の扉が開いて、中央に凛と立つエリザベートの毅然とした態度に、フランツもその場から一歩を踏み出せません。

そして大鏡の中からエリザベートをしかと見つめ、自分からも離れてしまっている彼女をつかもうと右腕を伸ばしつつ、주인은 나야! とそれでも言い張るトート。

大好きだったオク・ジュヒョンさんのエリザベート、ソン・ジュンホさんのフランツ、そしてシクトートの3人のハーモニーも聴き納めとなり、それだけで胸がいっぱいになります。初めて聴いた時は、シクトートの声量がちょっと弱くて他の二人に負け気味でしたが、もうはっきりとトートの歌が、言葉が聴こえます。

키치(キッチュ)

幕間のトイレで、「ルキーニってもう一人いるよね?この前の人はちょっとあんまり・・・だった」と日本語で話している人がいましたが、ルキーニは3人いますよ?(笑)しかもたぶん、イ・ジフンさんとパク・カンヒョンさんは同じだと思っていて、あんまりと言っていたのはカン・ホンソクさんだと思われ。いかに、シクトート以外はどうでもいいかがよく表れているなと。

パク・カンヒョンさんのルキーニの場合、キッチュよりミルクの方が実は好きです。一幕にミルクの感想入れてませんでしたが、ミルクで、ルキーニの乗ってるカートみたいな台をトートダンサーに押されて移動している間に、その状況が可笑しくてたまらないという風に笑い転げているのですが、それが狂気を孕んでいてルキーニは殺人者だったと思い出させるのです。

내가 춤추고 싶을 때(私が踊る時)

エリザベートを讃えるハンガリー国民の歌から、いきなり転調して、鷲の銅像の裏からトートが現れる瞬間がぞくぞくしてたまりません。

鷲の足に左肘をつき、鷲の爪をなでるように手を置いて表れるシクトートが、ちょっとやさぐれ・・・いえ、ちょっと拗ね気味?とても斜めに銅像に寄りかかってますし。

銅像から降りて、エリザベートと相対して言い争いになり(歌で、ですが)、シクトートがエリザベートの右腕を激しくつかむところで、(そんなに激しくて大丈夫?とちらっと思った途端)激しすぎて稽古動画のときのように若干つかみ損ねていました。本番では初めて見ました。そう思ってしまった私も細かい所を見過ぎだと自分でおかしくなってしまいましたが(笑)

死の天使たちを自在に操り、エリザベートを舞台上手に追い詰めていくのも、自分を大きく見せて力を誇示しようとしている黒い鳥のようです。

そして、エリザベートは上手へ、トートは下手へ荒々しく歩いてきて、

내가 춤출 땐 누구와 춤출지도 내가 정해!
내가~~~!

お互いにお互いの話を聞いてない感じで我を押し通すこの叫びです。歌としては、特にシクトートが絶好調なので、割れんばかりの拍手です。

엄마 어디 있어요(ママ、どこにいるの)

からの、ルドルフです。このシーン、よく考えると、シクトートは前の曲が終わって下手にはけてから、かなり素早く移動してるなと。

母を呼ぶルドルフが、帆船を見てる間に、何食わぬ顔でベッドに座っているシクトート。ルドルフなど、かなりどうでもいい感じで、左手を軽く丸めて自分の爪を見ながら、ルドルフの方を見もせずに、

소용없어. 그만 두렴.

シクトート、冷たすぎ。エリザベートの血を引く子供だしそういう運命だから、「その時」のために顔を見にきただけという感じ。それにしても冷静に考えて、知らない男が突然隣にいるのにルドルフ動じなさすぎ(笑)

ルドルフに「行かないで」と腕をつかまれても眉ひとつ動かさないシクトート。「猫を殺したんだ」と言われて、ようやく少しだけ興味を示しすも、大げさにお辞儀だけして、ゆっくりと部屋の奥の暗闇に消えていきます。この時、シクトートが前を見たまま後ろへ歩いて行って、徐々に暗闇に溶け込む瞬間の顔つきというか目が、無表情で冷たいのがたまりません。

내숭 따윈 집어치워요(マダム・ヴォルフのコレクション)

シクトートのこの場面での居かたは、(私が観た中では)水原から始まったのと同じスタンスで、同じポーズをしています。指揮をするように両腕を下からスッと上げ、客席に向かって大きく広げると同時に、その状況について「これを見てみろ」と言わんばかりに意地悪そうな表情を浮かべるという。

この場面だけを集めたら、シクトートのトートの存在に対する解釈がどんどん変わっていったことがよくわかると思うのですよね。

전염병(伝染病、最後のチャンス)

前回、シンエリザとの組み合わせでは、喜び勇んで素早くコートもハットも脱いで振り返る面白シクトートだったので、先生として登場した瞬間、(ああ、今日は色気増し増しトートだった)と再度気づかされるほど、立ち方も話し方も違います。

長椅子に仰向けで寝かされているエリザベートの脇に座るときの、エリザベートとの距離もとても近く、そのまま上に覆い被さってもおかしくない体勢で脈をとったり、顔に手の甲をそっと当てて熱をみたりしている風を装います。

トートの口からフランツの真実を聞かされたエリザベートが、죽어버릴래! と言った時には、シクトートはハットは脱いでいて、그래と言いながらコートをスルッと背中で滑らせて脱ぎ、그렇게 해で振り向き、엘리자벳! と言いながら長椅子に駆け上がり、両腕を広げてエリザベートを迎える気満々です。とにかく、コートを脱ぐ時に透けて見える背中の筋肉の動きがもう。

トートはエリザベートを一緒に連れて行くチャンスだと思ったのも束の間、怒りで具合が悪かったのもすっかり忘れたらしいエリザベートに怒鳴りつけられ、ネックレスまで投げつけられてしまいますが、悔しさと戸惑いが綯い交ぜになったようなとても複雑な眉で、ブリッジの中央でエリザベートを見つめるシクトートは、ちょっと可哀想に見えるから不思議です。オクエリザが強すぎるとも言う。

그림자는 길어지고(Reprise)(闇が広がる)

座席の位置的に、やはり、双頭の鷲の紋章の後ろにシクトートがスタンバイしている足が見えます。が、この日のルドルフはユン・ソホくんなので、足よりもルドルフを見ていた私です。稽古場映像も、この組み合わせで残して欲しかった(泣)この「エリザベート」でユン・ソホくんを初めて知ったわけですが、すっかりファンになりまして、YouTubeで過去作品を検索しまくったり、ついこの前までやっていたミュージカルのDVDを買ってしまったりと、舞台ファンあるあるな道筋を踏襲しております。この翌日のマチネも、テクトートでしたが、ユン・ソホくんの千秋楽にあたるので観に行ったようなもので。

それはさておき。

フランツと喧嘩してきたルドルフが、忙しくコートの前を合わせながら陸橋の下まで来て、息を整えていると、陸橋を隠していた紋章がせり上がり、その後ろには、ルドルフをまっすぐに見据えたシクトートが、今にも獲物に襲いかかりそうな牙を隠しつつ静かにルドルフに語りかけ始めます。

긴 침묵을 끝낼 시간.
그래 넌 나를 알지~♪

そしてゆっくりと上手側の階段から降りてきて、ルドルフに近づくシクトート。疑うことを知らない純粋なルドルフは、懐かしい友人に会えたと素直に喜びシクトートに抱きつきます。「かわいい奴だな」というように、その背中を肩越しに、ぽんぽんと軽く叩いて友達を装うシクトート。しかし目は「これなら仕事がやりやすそうだ」とでも言いたげで、ルドルフに親しみなど感じていません。

シクトートは、ルドルフを鼓舞しつつ、顔がMAX近づいた時に、死の接吻をしようとルドルフの唇に素早く自分の唇を寄せていくも、ふいに振り返ったルドルフにキスをかわされた格好になります。シクトートがユンルドにキスしようと、こう、斜めに顔を傾けた時の顎から首のラインの美しさよ。そして、敵が牙をむき出しにしてるのに気付かずぽんやりしているユンルドの「このおぼっちゃんめ」という感じが好対照です(このルドルフは猫を殺してないと思います)。この瞬間は超シャッターチャンスなのに、画像は私の脳内にしか残っていないという悲しさ。しかしこれ以上このシーンについて語ると、腐れていくのでやめておきます。

ルドルフに背を向けて歩き出したシクトートの後ろを、お散歩中のわんこのように追いかけてくっついていくユンルド。それを受けて、シクトートは、ルドルフをおだてて革命へと煽りまくり、まんまと手中に収めます。本当に、ユンルドだと「煽られてその気になりやすいタイプ」そのままで、シクトートの邪悪さが増した今となっては、この組み合わせが最強なのです。再演があったとしてもおそらくもう二度と観られない組み合わせでしょう。

陸橋の上から成り行きを見ている時も、若干ニヤッとする時があるものの、階段の途中まで降りてみたり、手すりに寄りかかってみたりして、余裕ある態度です。(テクトートの場合、ルドルフが革命家の仲間に加わったところで、「やった!」とばかりに陸橋の手すりをバチンと叩いて大喜びしていました。)シクトートは、ルドルフに道を譲るときも含めてどこまでも慇懃無礼で、それに気づかないルドルフって。

そしてルドルフがフランツに捕まる決定的瞬間、陸橋の階段を上って様子を伺っていたシクトートは、とうとう吹き出し、こんなに笑ったのは100年ぶりだとでも言いたげな勢いで笑い転げ、やがてその笑い声が頭上を覆い尽くします。

죽음의 춤(マイヤーリンク 死の舞踏)

母の声を聞いて子犬のような笑顔になったのも束の間、すぐに地獄の底に突き落とされたユンルドは、トートがちらつかせる銃をもらおうと躍起になります。

シクトートは、観客に見せるショウとしてさんざんルドルフを弄んだ後、倒れこんだ彼を片手で乱暴に引っ張り上半身を立たせ、右手に持っていた銃をくるっと回転させて持ち直してから、おもむろにルドルフに渡します。

そして、「さあ、皆さんがお待ちかねだよ」というようにシクトートが手を広げてみせると、ルドルフは自分の頭に当てた銃の引き金を引き、同時に死の接吻が訪れます。

息もできぬ静寂の中、トートがゆっくりと息を吐き出す音のみが聞こえます。指示を受けた死の天使たちがルドルフを担ぎ上げるときに、彼らに紛れて歩きながらサッと親指で唇をぬぐうシクトート。

そして、面倒くさそうに銃を拾って、銃口を見ながら舞台下手に歩いていきます。舞台袖に近いところで、「おそまつさまでした」とでもいう風に客席に向かって、あの慇懃無礼なお辞儀をし、足取りも軽く去っていきます。

추도곡(死の嘆き)

ルドルフを失い、狂ったように泣き叫ぶエリザベート(あんなに冷たくルドルフを追い返したのにとも思いますが。特にユンルドくんの場合は)。

舞台下手の高台から姿を表すトート。エリザベートが死を懇願するほどに、「そんな言葉なら聞きたくない」とばかりに眉をひそめていくシクトート。

자비를 제발 내게. 날 데려가!

と言われた瞬間、아니!!と一蹴します。この아の言い出し方が不遜で、ぞくぞくするのは内緒です。

질문들은 던져졌다(Reprise)(悪夢、暗殺)

ソン・ジュンホさんのフランツは、情けなさ全開で、だからこそよけいにトートがカッコよく見えてくるという悪夢のシーンです。

ここ、ブリッジのものすごく高い場所にトートがいるので、いつもオペラグラスでロックオン状態だったのですが、この翌日、シン・ヨンスクさんの千秋楽でシクトート以外で見るまで、舞台下手奥にエリザベートが立っていることに気づいてませんでした(笑)

俺のエリザベートに何してくれてんだ、とばかりにフランツを責め立て、自分が彼女を自由にしてやると強く宣言し、ルキーニにナイフを投げます。

スピーカーが近すぎて、最後の雷の音が割れんばかりに脳を揺さぶってきたので、ビクッとしてしまいました。ブリッジの上には、右手を上げ、手首から先を軽くひねって雷鳴を轟かせたシクトートが、暗転の闇に消えていくのが見えます。

ナイフを受け取ったパク・カンヒョンさんのルキーニの気持ち悪さといったら。完全にイッちゃってる恐ろしい殺人者です。

베일은 떨어지고(愛のテーマ)

とうとう本当の自由を手に入れたエリザベートを、うれしいはずなのに、すでにどこか寂しそうな表情で迎えるシクトート。

その腕にようやく愛する人を抱きしめ、キスを交わしたものの、すぐに動かなくなってしまったエリザベートの体には、すでに熱い魂がないことに気づきくシクトート。小刻みに震える左手でエリザベートを再び抱こうとするも、ぐっと手を握りしめて下ろし、ゆっくりと天の先を見つめます。それは、エリザベートの魂が旅立った先なのかな、と思わせます。

オクエリザの歌を最後に聞いているとき、やはりシクトートはうなずいたりはしていませんでした。歌っているエリザベートをじっと見つめていて、一緒に歌い出すという感じです。

カーテンコール

カテコのトートダンサーズも本当にカッコいいのですが、続いてブリッジから下りてくるシクトートが、本当にかっこよく、髪型も相まって可愛い。

우리 둘이서~~

の사の前、たっぷり待って拍手と歓声を思う存分浴びるシクトートが復活です。この日、本当に最高に良かったので、サービス精神とかではなく拍手が止みません。

そして、オク・ジュヒョンさんのご挨拶も終わり、全員でプロローグのリプライズ。圧巻です。カテコ映像だけでも出して欲しかった。

ユンルドとシクトートの組み合わせが最後なので、ハグし合う二人(ハート)。そしてオクエリザとシクトートの組み合わせも最後ですが、幕が閉まる直前に、ジュヒョンさんがシクトートのほっぺというかあごを、左手でむにっとつかんでいました(笑)可愛い弟を持つ姉と、頭の上がらない姉を持つ弟という感じの関係性を一瞬で表していました。こうなるとまったく「トート」ではなくて「ヒョンシク」です(爆)

そして、退勤ご挨拶は、役者さんによっていろんな場所でやっていましたが、この数日前にヒョンシクさんに対して危険行為をした人がいて、この日の退勤ご挨拶は中止となってしまっていました。この日のみならず「城南公演では」しないということが前日に発表されていたのです。そのため、カーテンコール途中で飛び出していく人にぶつかられたり、カバンを踏まれたりといったこともなく、静かすぎる退場でしたが(汗)

真夜中、公式ファンカフェにヒョンシクさんからメッセージがアップされましたが、一抹の寂しさを覚えたのはたしかです。

ABOUT ME
Kumi
テクニカルライター/技術翻訳者 主に、iPhone、iPad、Mac関連の記事を各種Webメディアで執筆。またCNET Japanでは10年以上ブックレビューを連載中。「シゴタノ!」では、ガジェットのほか文房具に関する記事も多数執筆。 韓国ミュージカルにハマると同時にブログも再開。 ハムスターと猫を愛するフィーリング重視のライターです。