さて、怒涛のお祝い広告&カップホルダーイベント廻りを終えて、急ぎ向かったのは、今回のそもそもの第一目的であるミュージカル『ランボー«랭보»』です。

ソウル編:20191116ヒョンシクさん誕生日お祝い広告巡り

YES24ステージ 1館(예스24스테이지 1관)

場所は、前回『ヘドウィグ』を観に行った恵化駅で、前回とは反対方面の山側にある劇場です。昔は別の名前だったようです。前回の渡韓で、梨花洞壁画村に行くために、ここら辺を一度歩いたことがあったことが、後で功を奏しました。

3つの劇場があり、1館は一番大きい劇場で406席あります。

https://yes24stage.com/

チケットの引き換えは、地下1階のボックスオフィスで行います。階段を下りてすぐのところにあります。というか、上から見えます。2館の場合は入口を入った奥、3館は2階にあります。開演時間間際には長い列ができていたので、余裕を持って行くのが良さそうです。チケットもチケットケースも、舞台のポスター写真が入ったデザインチケットです。韓国でチケットを引き換える楽しみの一つでもあります。地方公演だと、インターパークなどのチケット販売会社の紙になってしまうので、ソウルならではです。

物販と1階席の入口は地下2階です。前日からDVDの販売が開始されたので、地下1階から1階まで長蛇の列になっていました。前日の販売方法の公式ツイートを見て、きっと並ぶだろうなと思ったので、開演1時間前には着きたかったのです。支払いはクレジットカードのみ。売り切れていて買えないものもありましたが、プログラム、台本集、DVDを自力で買えただけでも満足です。

トイレは地下1階と1階の奥にありましたが数が少なかったので、こちらもギリギリだと入れないかもしれません。人がすれ違うのもやっと、みたいな狭さでした。

ロビーもそれほど広くないので、「本日のキャスト」ボードの前にも人がいたりして、写真を撮るのは結構大変でした。ただ、劇場内と客席内は綺麗で、小劇場らしく、客席と舞台も近いですし、椅子の座り心地も良かったです。

ミュージカル『ランボー«랭보»』について

今回の上演は、再演です。初演は2018年。去年です。『엘리자벳』が終わったばかりの4月、『ランボー』2018年版のDVDを即座に注文していた私です。その時の自分の判断を誉めてあげたい(笑)

『ランボー«랭보»』は、役者3人だけのお芝居で(声のみの出演者もありますが)、約2時間、全員がほぼ出ずっぱりです。

登場人物は、実在の詩人ランボー、ベルレーヌ、ドラエー。若くて美しく奔放な天才詩人ランボーと、詩を書くという創作活動と現実の生活との間で苦悩し、酒浸りになって病んでいるベルレーヌ、ランボーを兄のように慕う友人ドラエーという3人の人間模様を描いています。

初めてDVDを見た時には、今よりもっと韓国語が分からない上に、「詩」という、日本語でも読まないものが語られているため、あまりにもよく分からず、曲だけを聴いていた感じです。今回、生の舞台を観に行けるということで、再度DVDに挑戦したのですが、少しは勉強した甲斐があったのか、「全然分からない、よりは分かるところが少しある」ぐらいに(笑)

ちなみに、2018年版DVDで見たのはまだ1枚だけで(3枚組)、ランボーはユン・ソホくん、ベルレーヌがキム・ジョングさん、ドラエーがカン・ウニルさんです。これを、何度も聴いて観ていたので、私の中での『ランボー』という作品はすっかりこのイメージだったのですが、今回生で見たのは全く違うものでした。キャストも全然違う上、ユン・ソホくんの歌も演技もすっかり変わっていたので。

キャスト

랭보(ランボー):윤소호(ユン・ソホ)
베를렌느(ベルレーヌ):김재범(キム・ジェボム)
들라에(ドラエー):정의제(チョン・ウィジェ)
(敬称略)

キム・ジェボムさんもチョン・ウィジェさんも初めましてですが、この3人の組み合わせは、ビジュアル的には全然フランス感なくて(笑)ベルレーヌはこれのどこら辺が「ベルレーヌ」なんだろうと。あくまでビジュアル的に(翌日見た『ファンレター』の作家先生の方が断然しっくりきました。)。チョン・ウィジェさんは、ひょっとしてソホくんより背が高いのでは⁈ちっちゃいころはランボーを追いかけ回す弟みたいな感じだったけど、いつの間にか背も伸びて追い越しちゃった、みたいな関係かなとか想像してしまいました(笑)

でも、お芝居的には、とてもとても面白くて、「これぞ生の舞台」という醍醐味を感じられました。

あらすじ

詩人ベルレーヌとドラエーが、ランボーの最後の詩を探すため、アフリカに向かうところから 話は始まる。

酒場で酒浸りになっているベルレーヌのもとにドラエーが現れ、ランボーが死んだことを告げる。ベルレーヌは「ランボーは悪魔だから死んだりしない」と言うが、ドラエーはランボーがアフリカに残した最後の詩を探しに行こうと切符を渡す。ドラエーは、ランボーを不幸にしたベルレーヌのところになど来たくもなかったが、ランボーに頼まれたから来たのだと伝える。

ベルレーヌとランボーが二人で過ごした日々の回想を交えながら、現在と過去が交錯しながら物語は進む。

かつて、詩人として認められたかった若きランボーは、感銘を受けた詩人に手紙と自分の詩を送っていた。その詩を受け取ったベルレーヌは、すぐにパリに来るようにランボーに返事を書く。すぐさまパリに向かうランボー。初めてランボーに会ったベルレーヌは、ランボーの若さ(17才)に驚く。ベルレーヌはすでに詩を書かなくなって久しく、妻のいる現実の生活に押しつぶされそうになって、病んでいたが、ランボーの奔放さと才能に惚れて、ランボーに促されるまま、家庭を捨ててランボーと駆け落ちする。そのことは文壇のスキャンダルとして新聞にも載り、故郷のドラエーにも伝わる。

詩を書けず日々の暮らしにも困っていたベルレーヌと、お金の心配はしたくないランボーは、詩作のこと以外でも喧嘩が絶えなかったが、そんな二人の元にドラエーがやってくる。ランボーの母親に頼まれて、ランボーを連れ戻しに来たのだ。いったんは離れ離れになるベルレーヌとランボーだが、ランボーが必要だと気づいたベルレーヌが、ランボーに手紙を送る。二人は再会するが、ベルレーヌを迎えに来た家族のことでまた喧嘩になる。ベルレーヌの机の引き出しに拳銃を見つけたランボーは、いったんはそれを引き出しに戻すが、喧嘩の最中にそれをベルレーヌに突きつける。拳銃を捨てて去ろうとするランボーに、ベルレーヌはその銃を向けて引き金を引く。

弾はランボーの手の甲に当たり、ベルレーヌは2年の禁固刑を申し渡される。出所したベルレーヌを迎えに来たのは、ランボーから頼まれたドラエーだった。

アフリカで、ランボーが暮らした家に到着するベルレーヌとドラエー。ドラエーは、ランボーから知らされていた場所で手帳を見つけるが、それは詩ではなく日記だった。なおも詩を探し続けるドラエーを横目に日記を受け取ったベルレーヌは、ランボーが日記を書いていたことを訝しむ。そして、その日記こそがランボーの詩だと気づくのだった。

全体的な感想

ユン・ソホくんは、DVDで見たランボーでは、わりと子供っぽい(17才の役なので)、子供ならではの無邪気さと残酷さと純粋さを前面に押し出してる感じがしましたが、今回のランボーは、明らかに『ヘドウィグ』をやった影響が色濃くて、顔がシャープになって色気を纏った小悪魔になっていました。ベルレーヌが「あいつは悪魔だ」という台詞もぴったりハマります!

まず手つきがもう、全然違います。そして目つき。瞬きしてから見上げるだけで色気が溢れていて、そりゃ最初は年下すぎて戸惑ってたベルレーヌも惑わされますわ。生で観にこられて良かった〜と実感した瞬間です。

酒場で酔って、詩の暗唱をしてる人を押しのけて自分が暗唱を始める時も、酒場の他の客に見立てた客席の人に絡む時も、立ち居振る舞いの色っぽさも、ヘドウィグ入ってました(笑)

歌い方も去年のDVDより技術力がアップしたようで、無邪気に歌う声と、激しく歌う声のバリエーションが素晴らしく、聴いていて全く飽きませんでした。音楽も、少しアレンジが変わったりしていて、DVDで見たものより重厚さが増したような。

ベルレーヌのジェボムさんが、そこはかとなく可笑しみを感じさせる演技で、深刻なだけではなく、ユーモアも溢れる舞台になっていて、それに釣られてランボーもアドリブ入れたりしてましたし、チームワークの良さが伺われました。

ベルレーヌは、真面目な顔して冗談を言う系の人物像になっていて、ランボーを愛しているというよりも、親戚の子みたいな扱いだったので、いつから愛したのかちょっと分かりませんでした。初めてランボーにあった時も、胸をパイプで突かれたのを、手帳か手紙かでやり返していましたし(ランボーはヒュッと避けていた(笑))、自分の家に向かう時も、ランボーが勢いよく真っ直ぐ行ってたのを後ろから「こっちだし」と淡々と言って、コメディになってました。

二人で酔っ払って詩の暗唱をした後、じゃれあってる時には、ランボーの肩というか腕をバシバシバシバシバシバシバシバシ叩いていて(笑)思わずソホランボーが「えっ(笑)」って腕をさすりながら一瞬素になってて(爆)客席も爆笑。それなのに、突然謎の囁きに悩まされて錯乱するベルレーヌ。躁鬱でしょうかね。

チョン・ウィジェさんのドラエーは、背が高くガタイが良くて、ランボーを慕う弟分というより、仲間といった感じ。ベルレーヌと同棲してるランボーを訪ねた時に、ドラエーとガッとハグしたランボーが、ガタイの良さに「運動して鍛えたのか?」的なことを言って(たぶん)客席が爆笑していたほど(笑)

でも、ランボーを見つけて遠くから「ランボー!」とにこにこ走ってくる様子は、大きな茶色のわんこみたいでかわいかったです。ランボーを友人として、心底心配しているだけで、ベルレーヌに嫉妬している感はありませんでした。

前半はそのような感じで、楽しげに物語が進むのですが、徐々に、ベルレーヌは心神共に弱っていき、それをもどかしく思うランボーとの衝突も激しくなります。ランボーの冷たい一面が見え隠れし始め、ベルレーヌと激しくやり合った際には、ベルレーヌの手をペンで刺したりもします。その時のソホランボーの目が怖い!

また、台本集で確認したところ、ベルレーヌの拳銃を見つけた際、ランボーは「安心したように」引出に拳銃を戻すとなっていますが、ソホランボーは全然そんな風ではなく、ただ無表情に近い顔で拳銃を手に取って眺めた後、何を考えているのかわからない表情で元に戻すだけです。

そんなランボーの残した詩を見つけた時のベルレーヌとドラエーの様子が印象的でした。ベルレーヌがすごく大人で、わんこのように必死にそこら辺を掘りまくるドラエーに、「ドラエー、ドラエー、これが、それだ」と優しく言うのです。嫌みなく。そして、その日記のような詩を書いているソホランボーの登場で、うっかり泣きそうになりました(泣)

やっぱり舞台は生で観るのがいいです。DVDで見たのとは全然違うランボーが見られて良かったです。

カーテンコール

カーテンコールは撮影OKでした。

DVD & プログラム & 台本集

とにかくDVDと台本集が買えたのが何より嬉しいです。台本集がなければ、ほとんど何を言ってるのか分からないところでした。DVDと台本集で、韓国語の勉強になります!

DVDは、前回同様、リージョンのあるDVDではなく、CDにデータが入っている形式です。まだ音声をiPhoneに入れて聴くばかりですが、チラッと映像を確認したところ、ソホランボーはやっぱり色気がヤバくて、キム・ジョングさんのベルレーヌの方が、このお芝居には合っている気がしました。ジョングベルレーヌは、ランボーを「愛してる」感が凄くて、男同士の痴話喧嘩感が増すからです。ゆっくり観たい!

お見送り

お見送りというには長い退勤挨拶。舞台に関する質問にいろいろ答えてくれました。