もうだいぶ時間が経ってしまいましたが!今回の韓国滞在中に最後に見たのが、この『ベンハー』です。『ジキルとハイド』の余韻に浸る間もなく、蚕室駅から漢江鎮駅まで移動です。台風の影響はほとんどなく。

蚕室駅から漢江鎮駅まで、地下鉄路線図を見ると近そうに見えますが、どっこい、移動にだいたい45分ぐらいかかります。1時間は見ておいた方がいいでしょう。勝手知ったる漢江鎮駅では、お土産にNature Republicでパックを爆買い。今回お土産を買う時間が、この時以外になく。というか、買えて良かった(笑)呼び込みの店員さんが「今購入されると新作パックのサンプルを差し上げます」と言っていたのに、思わず飛びついたのです。(まだまだ韓国語はできない部類ですがボディランゲージで瞬時に理解(笑))

ジキハイのパンフレット×2、楽譜×1に、パックが30個ぐらい(?)。この後さらに荷物が増えて、「フランケンシュタイン」OST×2、「ベンハー」OST×2、パンフレット×2。業者か!状態。案の定、帰りの飛行機ではスーツケースを手荷物として持って入れず、預け入れに。LCCだったら、危うく追加料金を支払わないといけないところでした。今回はANAだったので大丈夫。

ブルースクエアインターパークホール(블루스퀘어 인터파크홀)

ブルースクエアインターパークホールについては何度も書いてるので詳しいことは割愛します。「ベンハー」仕様の様子をお伝えします。

ブルースクエアの1階のチケットカウンターでチケットを引き換え、1階下に下りると客席2階です。物販は、この「客席2階」、もう1階下りた「客席1階」に分かれていました。

「客席2階」の物販では、「ベンハー」のOSTと「フランケンシュタイン」のOSTを販売していました。ちょうど「フランケンシュタイン」OSTの発売直後だったので、幸いにも一緒に購入できたのです。初回分は初日で完売したと聞いていたので、カウンターの前を通った瞬間、見慣れたロゴが目に入り、「え?!これ、フランケンシュタインのOSTですか?!え?!」って二度見して確認してしまいました(笑)

他に誰も買おうとしていませんでしたし、即座に購入。もちろん「ベンハー」のOSTも一緒に購入しました。「プログラムは?」と聞くと、下で売ってるとのことだったので、すでに大荷物を抱えていそいそと下へ。その日の全出演者のキャストボードは、このカウンターの目の前の壁にあるので、そちらを撮影してから。

1階客席階に下りると、まずは、戦闘用の馬車のオブジェがドーンと目に入ります。もちろん、人が乗って写真を撮ることもできます。やりませんが(笑)あとはお馴染みの、キャストの写真が巻かれた柱たちと、ベンハーのワンシーンを再現したイメージポスターが、壁一面にラッピングされています。

物販は、馬車の右側にありましたので、プログラムを購入。あまりにバタバタしていたので、買おうと思っていたマスキングテープを買うのをすっかり忘れてしまいました(泣)

キャスト

2019年9月7日(土) 19:00開演

ベンハー:パク・ウンテ
メッサラ:ムン・ジョンウォン
エスター:リナ
クィンタス・アリウス:イ・ビョンジュン
ミリアム:ソ・ジヨン
(敬称略)

初めましてなキャストの方々です。パク・ウンテさんの歌が素敵だと聞いていたので、それは楽しみにしていましたが、他の方々は想像もつきません。カタカナでの名前の書き方も、これで良いのかどうか。

開場から着席

今回は初めて、インターパークホールの2階席にしました。엘리자벳の時は、ひたすら前方席を取ることに全力を注ぎましたが、今回は「観ておきたい」という作品だったので少し節約。とは言え、2階7列上手ブロック、センター寄り通路席で、これまた遠すぎるわけでもなく。大好きな人をそばでガン見したい!というのでなければ、オペラグラス併用で、十分観やすかったです。

また、「ベンハー」という作品は舞台装置がダイナミックすぎて、あれは間近で観ると、全体がどうなっているのか分からないのではないかと。結果的に、2階から観て良かったというシーンが数多くありました。

Dキューブアートセンターでも思いましたが、2階席でも、音響がとても良いのです。台詞や歌が聴こえにくいということもなく、これには感動しました。「エリザベート」を帝劇の2階で何度も観ましたが、音響というか、マイクの音が弱いな〜といつも感じていたので、「これだよ、これ!」と。

全体的な感想

スケールが大きすぎる。

一言で言うなら(笑)「エリザベート」「アンナ・カレーニナ」「エクスカリバー」「マリーアントワネット」そして「ベンハー」(「ジキルとハイド」も入らなくはないかも)と、舞台の奥行きだけでなく、上下の空間を存分に活かしたセット作りが素晴らしいです。舞台上の空間は全て存分に使おうとしている。だから、2階席でも遠く感じないのかもしれません。

曲も良いし、難しそうなお話なのに分かりやすい。初見でも、言葉がいまいち分からなくても、次の展開を楽しみに待てる構成と演出(何かを思い浮かべている)。また、群舞がとにかく素晴らしいのですが、2階席からだと、そのフォーメーションの美しさを堪能できて良かったです!戦闘だったり宴での演舞だったりと、群舞のアンサンブルさんたちが大活躍なのです。

あらすじ

もうかなり経ってしまった上、言葉も覚束ないので、ざっくりすぎるあらすじしか書けません(汗)

時代は、イエス・キリストの復活よりも前。ユダヤ人貴族のベンハーは、ある日、濡れ衣を着せられ、ローマ軍に捕らえられる。捕らえにきたのは、幼い頃からの親友メッサラ。母と妹を助けるという約束で、罪を認め(たぶん)、身分は奴隷となる。ひどい扱いを受ける日々、移動中に倒れたが、一人の男性に助けられる(これがイエス・キリストだったらしい)。奴隷同士で戦わされていた時、母と妹が死んだと知らせを受け絶望する。奴隷として働かされていた船が沈没したが、幸いベンハーは九死に一生を得て復活し、メッサラへの復讐を誓う。

紆余曲折あり(端折りすぎ)メッサラと一対一で闘い勝利したベンハーは、メッサラから、母と妹が生きていることを知らされる。ようやくの思いでその場所に辿り着くが、そこで、ベンハーの家に仕えていたエスターと再会する。エスターは、密かにベンハーの母と妹の世話をしていたのだ。そして、病にかかっている二人に会わないで欲しいとベンハーに懇願し、ベンハーも状況を知って二人に会うことを泣く泣く諦める。

そして、本当に母と妹を失ったベンハーは、これ以上生きることは無意味なのではないかと苦悩し絶望する。そこで、十字架に張り付けされる直前のイエスと再会し、キリストの復活について告げられる。そうしてイエス・キリストは復活し、ベンハーは母と妹に再会する。

この最後の再会は、母と妹も実際に復活したのか、幻覚や夢のなかでの再会だったのかはよく分からず。実際に復活するのはイエス・キリストだけだと思われるので。

第一幕および第二幕を通して

パク・ウンテさん、初めて拝見しましたが、品の良い貴族の穏やかな表情から、奴隷となっても生き抜こうとする強い決心を表す顔、家族を失って絶望する感情、憎しみに燃える全身の姿と、同じ人なのかなと思うほど素晴らしい変化を表現していました。声はクセがありすぎず、甘いバラードはうっとりするほど甘い声なのに、二幕の憤怒や絶望の歌の凄まじさは、地獄が背後に見えるかのように激しく恐ろしかったです。

メッサラのムン・ジョンウォンさんは、メッサラという役がぴったりすぎるほどしっくりきていて、本当にこの時代に生きてる人かしらと思わせるほど。特に、ベンハーとの戦いに敗れて目を潰された後、もう死んでいるのかと思いきや最後の力を振り絞りベンハーに真実を告げ、自殺するシーンでは、男の意地みたいなものを感じました。(ここはミュージカル仕様でメッサラがカッコよく描かれ直しているようです。)

とにかく素晴らしかったのがアンサンブルの群舞です。戦いの場面でも華麗な殺陣を見せていますが、二幕冒頭のガマガエルみたいな貴族(?)の家での宴で繰り広げられる群舞が、本当に感動もので、特に2階席から見た時のフォーメーションの美しさには目を見張るものがありました。ダンスかバレエの公演に来たみたいでした。なんと、そのシーンの映像がYouTubeの公式チャンネルにアップされていますので、ぜひ見てみてください!

THE MUSICALの記事リンク。アンサンブルの七変化について詳しく書かれています。
https://www.themusical.co.kr/Magazine/Detail?num=4280

そして、忘れてはならないのが、騎馬戦というか、ベンハーとメッサラの一騎討ちに登場する馬車です!!ロビーにも飾られていますが、その馬が3頭×2人分で6頭も登場し、スモーク立ち込める中、首も足も自在に動いて臨場感たっぷりなのです。これを見るためにこのミュージカルを観にきたと言っても過言ではありません。このスケールのセットは、日本では難しいのではないかなと思います。

ベンハーのストーリーを全く知らずに観に行って、最初は「なぜ、ベンハーが主人公なのか」がよく分からなかったのですが、イエス・キリストが十字架を背負って現れ、ベンハーに復活を告げた時(実際に台詞を言うわけではなく、倒れたイエスを助け起こしたベンハーの耳元に囁くだけですが)、「ああ、そのための物語だったのか」と納得しました。キリストの復活を告げられるもの、その証言者、伝道者になるのがベンハーなわけですね。ベンハーは、神に選ばれた一人でもあるということ。ぶっちゃけ、それまでのベンハー自身の苦悩とか人生とかは、本当はどうでもいい話ではないかと(笑)

カーテンコール

スケールが大きく人数も多い舞台なので、カーテンコールも豪華です。最後の最後に、ベンハー のメインテーマを歌い上げてくれるパク・ウンテさん!素敵でした!

プログラムとOST