2018年12月2日マチネ 14:00開演
二幕

一幕についてはこちら。
韓国旅行:ミュージカル『엘리자벳(エリザベート)』観劇(4)

키치(キッチュ)

ルキーニがものすごく楽しそうです(笑)笑顔がとってもキュートなルキーニ。だから、なんというか、「こんな可愛らしいルキーニにエリザベートを殺させるとは、トート、ヒドっ!」感が否めません。

後半、エリザベートが精神病院に行くという話をする時、手鏡が出てきますが、それを見ながら、ちょっとおちゃらけるのもかわいいんです。(たぶん「あれ、イケメンが映ってる」的なことをやっていたかと。言い忘れましたが私の韓国語はハングル検定5級合格した程度です(汗))

내가 춤추고 싶을 때(私が踊る時)

待ってました。俺様トート様。エリザベートが自分の意志で自由に踊ると言っているのに、聞いてないし、強引だし、俺が俺がって感じ。それがたまりません!思ったよりもエリザベートがこっちを向いてくれないイライラが垣間見えます。

登場する所もかっこいいんですけど、トートダンサーたちがトートの翼の一部のように動く振り付けが、超絶かっこいいです。これは、公開稽古映像でも見られますが、メイク、衣装、セット、照明、音楽、そして観客が全てそろった状態で見ると、豪華で見惚れます。あと、トートの俺様感もすごいです。エリザベートを無理やり操ろうとしますし、その振り付けがまた、すごく似合っていてカッコいい。

シクトートは、腕が長くて、手が大きくて、指も長いですが、指先まで表現が繊細で目が離せません。あんなに、こう、少女マンガに出てくるキャラクターみたいな手つきを、生身の人間ができるものなのかと(笑)ドラマでも、指ばかり見てしまうのですが舞台で、指先まで存分に使って、大きく表現をしているのを見るのは格別です。

엄마 어디 있어요(ママ、どこにいるの)

少年ルドルフ、とってもかわいいです。

ママを思ってベッドで歌っていると、背後にある窓に、黒い羽根が静かに舞いおりてくるのが見えます。と同時に、ルドルフのベッドの背もたれの後ろから、ふわっとトートが現れる。この現れ方がヤバいです。なんかもう語彙力なくなってきてますが、ほんとに舞い降りてきた悪魔みたいなのです。

ルドルフがよそ見をしている間に、ベッドに上って、ルドルフに寄り沿うトート。ルドルフよ。「だれ?」じゃない。怪しすぎるだろ(笑)この、美しいベッドに土足で上る感じ。こんな人が迎えに来てくれるなら寝てる間に黄泉の国でもいいです。

子どもには優しいと見せかけて、という。死は悪魔ではないけど、この悪魔め!(笑)

내숭 따윈 집어치워요(マダム・ヴォルフのコレクション)

ここでは、トートは歌ったりしませんがメリーゴーランドのようなポールが、回転舞台上を回って
おり、次々と登場する娼婦たちが、ひとりまたひとりとポール台に昇って回り始めます。お客として男たちがやってきますが、トートダンサーが粉れているのが重要です。そこにはもちろん、死の影がつきまとっているのです。

女たちの歌も終わりに近づく頃トートが現れて、いつのまにかポール台のひとつに乗って、不敵な笑みを浮かべて、大きく片手を広げます(片手はポールを握っている)。無言の表情がまた恐い。
写ってはいけないものが写真に写っていたみたいな。

ここが、トートダンサーを見ていて、トートの登場を見逃してしまった場面。ソワレでは見逃さないぞ!

전염병(伝染病、最後のチャンス)

エリザベートが倒れて、呼ばれて来た医者(の格好だけしている)が、トート。

ここは、日本版で見た時も思いましたが、はっきり言ってトートはHENTAIだ!お医者さんごっこしに来たわけですし。エリザベートに診察もどきをする様子なんかもう、シクトートでも変態でした(笑)そして、白衣を脱いで、嬉々としてソファの上で歌いながらエリザベートを誘う。ここはちょっと、個人的に誰がやっても笑ってしまいます(笑)

この後もちょこちょこ宮廷人の中に紛れてますが、次にいきます。

그림자는 길어지고(Reprise)(闇が広がる)

父フランツと意見が対立するルドルフの元に現れたのが、唯一の友達、トート。

この現れ方が超カッコいいです♡陸橋が舞台奥にあり、そこにかかっていた大きな紋章のモチーフが上方に上がっていくと、そこにいるという。そこから先は、公開稽古映像でも見られますが、本番では、♬그 약속을~ の後に声を出して笑ってはいませんでした。この演技プランも結構好きでしたが。ほうらおいで、と言わんばかりに両腕を広げてルドルフを抱きしめてあげるしぐさが、もう邪悪です。

ルドルフは、ユン・ソホさんですが、素敵です。世間知らずの王子感ありありです。将来はフランツって感じ。トートに焚きつけられて革命への情熱に燃えるも失敗。

その様子を、陸橋の上からトートとトートダンサーがずっと見ているのですが、トートが、邪悪な顔して、高らかに笑ったり(声は出してませんが)、ニヤニヤしていたりするのが、もうツボすぎてたまりません。こう、普段は優しい顔の役者さんが、邪悪な表情する役に超弱いんです。だから、トートという役が大好きなのですが(笑)ギャップ萌えがすぎます。

죽음의 춤(マイヤーリンク 死の舞踏)

母にも助けてもらえず絶望の淵にいるルドルフの前に現れたのは当然トート。ここは歌はありません。どこからともなく銃を持ってきたトート。

「ほぅら、ここに良いものがある。これを使えば楽になるよ。ルドルフ」

みたいな表情でルドルフに銃を渡します。ルドルフは正面を向いて膝をつき、トートはその後ろに立って、黒い翼を広げ・・・ルドルフが引き金を引く瞬間、トートの死の接吻。上からガバッと。翼というかマントで隠しますし、上からいくので、あれは日本みたいに本当にはしてないような。

ルドルフの遺体はトートダンサーが担ぎ上げて静かに連れて行き、一人になったトートは、そっとしゃがんで、残された銃を拾って立ち上がり、振り向きざま銃口をフッと吹くのです。

カッコ良すぎ。

実はもっとふぉおおお!ということを、上手から観たときにしてたことを知りましたが、それはソワレで。

추도곡(死の嘆き)

ルドルフを失って嘆き悲しむエリザベートが、トートに、私を連れていってと泣きながら頼みますが、「아니!」と強く拒絶。自分を必要としてるわけじゃなく、悲しいから連れていけというのは許さないわけです。

いやー、ひどい。そう仕向けたくせに。ひどい。トート、鬼か。いや、死なんだけども。

トートは、下手のすごい上の方の暗い舞台に浮いてるように立ってるのですが、あの場所も、超怖そう。鉄橋もぐらぐら揺れてて怖そうですけど、高所恐怖症には見てるだけで足がすくみます。(飛行機とかは平気なんですけど、微妙に足元が見える高さとかは無理です。)

しかも、ものすごい般若のように怖い顔するんですよ。愛してくれないならいらないとかわがままなストーカー、トート。

질문들은 던져졌다(Reprise)(悪夢、暗殺)

フランツとトートが激しく言い合う悪夢の場面。トートは鉄橋の上。

その最後、上手の隅にいるルキーニに向かってトートが叫びながらナイフを投げます!
「Hay! 루케니!지금이야!!」
(ルキーニ!今だ!)

実際には、投げたように見せ、ルキーニが受け取ったように見せますが、このやりとりの演出、激しくて力があっていいですね。東宝版ではもう少しそっと後ろから渡すみたいな感じだったと思うので。

베일은 떨어지고(愛のテーマ)

エリザベートが行こうとしてる桟橋が、すでにトートに繋がる鉄橋です。

ルキーニに刺されたエリザベートは、血まみれになって(そのように見える)息絶えようとしています。そこへ迎えにくるトートは純白のスーツ(タキシードではないような)。これまでずっと黒くて暗かったから、本当に眩しい!

ようやくエリザベートと熱い抱擁をとキスを交わします。ようやく、俺の元に彼女が!勝ち誇るというより優しく迎える王子様みたいです。が、これも相手が変わると全然違ったのでびっくりしましたが。

カーテンコール

韓国では、終わった直後からスタンディングオベーションです。日本では2回目とか3回目でやっと立ってもいいかな?みたいに立ち上がるのが多いですが、韓国では反応が超ストレート。トートは鉄橋の上から降りて来て、舞台のかなり前まで来て、最後のダンスのサビをトートダンサーと共に披露します。劇中では上手のエリザベートに向かって踊りますが、カテコでは客席に向かって踊るので、カッコ良さに打ちのめされました。劇中をなんとか生き延びたというのに、最後にそれとは。

公開稽古映像のプレイリストはこちら

というわけで、予定よりだいぶ長編になってしまいましたが、マチネの感想はこれにて終わり。ソワレの感想に続きます。