すでに一週間過ぎたぐらいのボリューム感ある旅になっていますが、ようやく来ました、世宗文化会館大劇場(세종문화회관 대극장)。ミュージカル『엑스칼리버(エクスカリバー)』です!なぜかフランク・ワイルドホーン三昧となりました(笑)

世宗文化会館大劇場(세종문화회관 대극장)

なるべくハングルでも場所の名前を入れるようにしているのですが(めんどくさい時もある)、なぜかというと、カカオマップで検索するときに必要だからです。これは、地方公演を回ってる時も、映画の舞台挨拶を回った時も同じですが、事前に日本で、行く予定の場所をカカオマップにマッピングして、色とアイコンを決めてその旅行用フォルダに保存しておくと、現地でもブックマークから場所を選択するだけで簡単にルート検索できるので、本当に便利なのです。まだまだハングルの入力がおぼつかないですし、日本語で施設名が書いてあると検索できないんですよね。カカオマップがなかったら、こんなに過密スケジュールをスムーズにこなせてないです。方向音痴なので。

世宗文化会館は、ソウルファイナンスセンターとは光化門駅を挟んで反対側にあります。歩くと10分ぐらいはかかりますが、見えてはいるので道に迷うことはありませんでした。普通に世宗文化会館に行くなら光化門駅7番出口を出て光化門の方へまっすぐです。

すごーく大きな劇場です。ロビーは広いですが座れるところは多くありません。ロビーを入って右端にコンセッションがあり、コーヒーやペットボトルなど飲み物各種とパンやマフィンなどが販売されています。

『ジキルとハイド』仁川公演のチケットは、インターパークグローバルとYES24グローバルで取りましたが、『エクスカリバー』はMelonチケットで購入しました。『エクスカリバー』はMelonチケットがメインのプレイガイドで、インターパークはサブの扱いでした。しかしMelonチケットはおそろしく使い勝手が悪いです(泣)スマホには対応しておらず、パソコンからしか購入できませんし。

物販はコンセッション側にありました。私がやりとりした係の人は簡単な日本語が話せて、向こうから日本語で聞いてくれました。プログラムは12000ウォン。分厚いですし、表紙は箔押しの豪華仕様です。時期的に稽古場写真しか載っていません。その後、舞台写真入りプログラムが販売開始となりました。

お手洗いは左右両方にあります。上の階にもトイレがあるので1階が混みすぎてる時は上に行った方が早いかもしれません。

ロビーには、主要人物たちの写真が貼られている柱があったり、エクスカリバーが刺さった岩のあるフォトスポットがあったりして豪華です。EMKの力の入れようは相当なものです。

また、EMKの10周年記念を祝うパネルも展示されていました。YouTubeにもある記念ビデオが流されていて、その下には過去の出演者全員の名前リストが。박형식 씨の名前ももちろんありました。

キャスト

アーサー:KAI
ランスロット:イ・ジフン
マーリン:ソン・ジュンホ
モルガナ:シン・ヨンスク
グィネヴィア:ミン・ギョンア
エクター:チョ・ウォンへ
ウルフスタン:イ・サンジュン
(敬称略)

公式サイト

뮤지컬 엑스칼리

開場から着席まで

とにかく横に広い劇場です!ひろーい!そして、各座席の背もたれにモニターが付いています。上演中は消されますが。

1階の座席は5つのブロックに分かれています。センターブロックのすぐ隣の上手ブロックセンター寄り通路席12列目を取ったので、遮るものは何もなく、全体がよく見渡せてとても見やすかったです。横に広い舞台なので、前方席でも端だと首が痛くなりそうだと思いました。後方でもなるべくセンター寄りで観るのが良い劇場ではないかと。

オーケストラピットは半分くらいがふさがれていましたが、一番客席寄りも舞台として使っていたので、役者と客席がとても近くて良かったです。

あらすじ

韓国語がほとんど分からないので、アーサー王と円卓の騎士の知識と、見たものを総動員してあらすじを(笑)

ウーサー・ペンドラゴン王の子供として生まれながら、私生児だったために森でエクターに育てら­れたアーサーは、少々気が短く喧嘩っ早いが元気に暮らしていた。森には仲間も、大切な友人であり兄のような存在のランスロットもいる。

ところがある日、サクソン人の攻撃にあい、ウーサ一・ペンドラゴンは殺されてしまう。その際、ウーサー・ペンドラゴンの娘モルガナ(つまりアーサーの異母姉)は、サクソン人の王に取り入って一時的に命を助けてもらうが、自分が国を手に入れる機会をうかがっていた。

そのような情勢の中、アーサーの元に、魔術師であり預言者でもあるマーリンが表れ真実を告げる。アーサーはペンドラゴンの子であり、王となる者以外、何人(なんぴと)も抜くことのできない剣「エクスカリバー」を抜き、王になる運命であると。最初はまったく信じなかったアーサーだったが、育ての父エクターの言葉によって、自分がペンドラゴンの子であることを受け入れ、エクスカリバーを抜く。

エクスカリバーを手にしたアーサーは、その場にやってきたグィネヴィアと出会う。一気に恋に落ちた2人を見て、マーリンはグィネヴィアを「王妃になる運命だ」とアーサーに言い、それを聞いたアーサーはすっかりその気になる。グィネヴィアに会うために森に行くようアーサーをたきつけたランスロットは、そこで一対一で格闘勝負をしたグィネヴィアに密かに惹かれ始め、アーサーの結婚式では恋心を抑え苦悩する。

一方、ペンドラゴンの息子アーサーが生きていたことを知り、怒りに燃えるサクソン人とモルガナ。自分から何もかもを奪うアーサーを破滅させるため、魔術によって恐ろしい呪いを発動する。実はモルガナは、マーリンから魔術を授かった魔女でもあったのだ。

そんなモルガナは、アーサーの結婚式に表れ、アーサーの前で「唯一の肉親であるあなたの姉だ」と、憐れな弱々しい女を演じて見せる。うぶなアーサーはコロッと騙されすっかり姉を信じきる。しかしマーリンはモルガナに、何をしに来たのかと強く迫る。一方で結婚式の宴は進み、何度目かの乾杯が行われようとしていた。グィネヴィアは、アーサーの育ての父にも乾杯をお願いしたいと、アーサーが飲むはずだった杯をエクターに渡す。ところがそれを飲んだエクターが急死。毒が盛られていたのだ。嘆き哀しむアーサー。ここからアーサーの運命は狂い出す。

その後、戦いの方針でアーサーとランスロットは対立(というかアーサーの無茶な計画に反対したランスロットが遠ざけられた)。マーリンは「モルガナに気をつけろ」とアーサーに助言するが、モルガナがマーリンに色気で迫っているところに出くわし、マーリンがモルガナを押し倒そうとしていたと誤解し、マーリンも遠ざける。さらには、心配したグィネヴィアと口論になり、はずみで「きみのせいで父が死んだ」と言ってしまい、グィネヴィアさえも遠ざけてしまう。

お互いに心に傷を負ったランスロットとグィネヴィアは惹かれ合い一夜を共にしてしまう。その様子を魔術でアーサーに見せるモルガナ。アーサーに2人を殺させようとするが、すんでのところで思い留まるアーサー。二人を追放する。大切な人を皆失いひとりになってしまったアーサー。このままいくとモルガナの思い通りになってしまうことを避けるため、マーリンは一計を案じる。

モルガナの元に表れたアーサー。自分を殺してくれとナイフを取り出したアーサーの頼みを聞いて、嬉々としてアーサーを刺すモルガナ。その瞬間、モルガナ自身が苦しみ出す。モルガナが刺したアーサーは、マーリンが変身した姿だったのだ。マーリンとモルガナは魔術を授けた時の契約により一心同体のようなもの。マーリンは、自分が作り出してしまった、そして実は愛していたモルガナを道連れにすることを選んだのだった。

一方、いよいよアーサーたちブリトン人と、サクソン人との戦いが本格化。ウルフスタンとの決戦の場において、アーサーの命が危うくなった時、飛び出して来て助けたのは、自分が追放したはずのランスロットだった。敵の剣に倒れるランスロット。アーサーは、とうとう本当に親友を失ってしまったのだ。戦死者を弔う修道女たちの中に、グィネヴィアを見つけるアーサー。戻ってきて欲しいと懇願するが、グィネヴィアは静かに拒否する。皆に守られていたのにそれに気付かず本当に一人取り残されてしまったアーサー。王としての孤独な道を歩んでいく決心をする。

たぶん(笑)1回しか観てないので間違ってたらすみません(汗)

音楽について

以前からある『ジキルとハイド』よりも、『エクスカリバー』の方が好きな曲が多い気がします。わりとずっと盛り上がっているし、壮大なテーマ曲が繰り返されるのも初心者に優しい。プレスコールの映像や、歌稽古のインスタライブなどもだいたい見ていったからというのもあるかもしれませんが。

特に、モルガナの呪い発動の歌(아비의 죄 父の罪)と、グィネヴィアがアーサーに初めて会った時に歌う歌(그가 지금 여기 있다면 彼が今ここにいたなら)が好きです。また、圧倒的な人数で歌われる数々の楽曲も!

なんとなくですが、一度見ただけだと、主役も含めて男性陣の歌の印象が弱いような気がしました。それほどに女性陣の存在感があったとも言えます。

感想

とにかく「圧巻」の一言です。役者一人一人のレベルが高いから、上手かったとかいまいちだったとかそういうところでの感想はなく、みんな力入ってるなあ〜という感じです。セットの仕掛けの凄さ、プロジェクションマッピング(?)も含めて映像と照明の派手さ、音楽の壮大さ、「エクスカリバー」という物語の中の一部に自分も入ってるような感覚に襲われました。

KAIさんは、普段はあんなに頼もしそうなのに、アーサーのアホっぷりを見事に演じていました。アホというかお子ちゃまなんですよ。正直、イラっとします(笑)不甲斐なさに。不甲斐ないからあんなことになるんですけれども。

イ・ジフンさんのランスロットは、とても「お兄さん!」という感じでした。頼れる兄貴も恋心に翻弄されてヘナチョコなんですよ(笑)上手の一番手前で、暗闇の中グィネヴィアとイチャコラしてるんですけど、そこでするか(笑)

ソン・ジュンホさんのマーリンは、清廉潔白なイメージ。不気味さや怪しさはあまりないようです。そして真白面。マーリンは原作では女にはだらしないというのが普通だったような気がしますが。

そして、シン・ヨンスクさんのモルガナ。いやもう凄まじい女です。どこまで声が出るんでしょう。エリザベートとは全く違うこの役を、よくぞやってくださいました。ブラボー!なんならアーサーよりモルガナの方が主役だったんじゃないかと思われるほどの迫力と存在感。そして、ご本人がすごく楽しそう。邪悪な存在に振り切れてて、楽しくて仕方ない感じ(笑)このモルガナとマーリンが、ついこの前までエリザベートとフランツだったとか、ほんとに???と疑っちゃいます(笑)「父の罪」のところなど、劇場全体呪われてましたね。あれは。

ミン・ギョンアさんのグィネヴィア、すごーく素敵でした!エクスカリバーを抜いたのがアーサーだとまだ知らないうちに、アーサーを目の前にして、その人を讃える歌を愛情たっぷりに歌った直後、それがまさにエクスカリバーを抜いた本人だと知った瞬間の慌てっぷりが可愛すぎました。とても透明感のある声で、もう一度あの歌を聴きたいのですが、映像にあるのはダブルキャストのもう一人の方だけなんですよね(泣)実写版映画『アラジン』のジャスミンの歌の吹き替えをされてるそうです。聴きたい〜。

まとめ

悲しい結末と言えばそうですが、アーサーが本当の王になる成長記と見れば、頑張って!と最後には応援したくなります。何より「韓国のミュージカルを見た!」という感動が存分に味わえる作品なので、この期間に渡韓する人には一度は見ることをお勧めします。

EMKだし日本でもいつか上演するのかなあと思いながらも、今この規模で日本でできるのか疑問も。経済力とか勢いとか役者とか…。